財務の視点から節税対策を考えることの重要性
同族オーナー社長や後継社長の場合は、会社に課税される法人税等だけではなく、個人に課税される所得税等や相続税等もありますから、一般の方々と比べて重税感を感じられるのも無理のない話です。
しかし、中小企業経営者、特に同族企業にとって、税金を上手にコントロールすることは手元にお金を残す上で、大変、重要な戦術のひとつでもあります。
「節税」をすること自体は、あくまでも合法的なものですし、しっかりと会社にお金を残して会社を守るということが目的ですから、経営者にとって、当然の発想といえば当然の発想です。だからこそ、手元にお金を残す社長ほど、自社に合った「節税対策」を正しく理解し、戦略的に実践をしているものです。
自社に明確な財務戦略があり、自分の会社にあった節税対策がどういったものなのかを正しく認識してさえいれば、知らず知らずのうちに間違った節税対策を講じてしまう・・・といった悩ましい事態に陥ることはありません。
財務の視点からどのような節税対策を打つべきなのかを予め知っている社長と、周囲に言われるがまま場当たり的に節税対策を検討している社長とでは、5年後、10年後の世界が大きく異なってきます。
しかし、そうはいっても現実問題として、多くの社長が「間違った節税対策」の落とし穴に陥ってしまうものです。なぜなら、そもそもの大前提として、世の中に広く知れ渡っている「節税対策」ほど、財務を棄損するような性質のものが多く、節税を目的に開発された商品は、誰かがその商品を売るために作られたものです。
したがって、往々にして、まずお金を使うことが前提となっていますから、節税対策を目的にその商品を購入した時点で、手元資金が社外に流れていく仕組みになっているものなのです。ですから、「節税対策」を目的に商品を買った時点で、手元にお金が残らなくなるということを、よくよく知っておかなければならないのです。
当たり前といえば当たり前の話ではありますが、「節税したい」と思っている時は、既にアタマの中は「なんとかして税金を減らしたい!!!」でイッパイなはずです。だからこそ、ほとんどの場合、知らず知らずのうちに節税対策の「目的」と「手段」が逆転してしまうのです。
会社にお金を残し、強い財務基盤を気づく社長ほど、財務の視点から節税対策を考え、実行していきます。節税対策を講じるにしても、そもそもの自社の財務戦略があってこそ、成功していくものなのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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