店舗オペレーションの独自性はありますか?
「先日、あるセミナー会社の勉強会で、競合他社店舗の視察に行ってきたんですが、バックヤードとか見させてもらっても、それをどうやってやってるかわからないのですよ,企業秘密なんでしょうけどね。」とある企業の経営者のつぶやきです。
売場レイアウト、設備、什器、サイニング、PB商品・・・などは、目に見えるものですから、それに似せていくらでも作ることはできます。
しかし、これを真似ても、同じように他社もやってくるわけで、競合と同質化した結果、「価格の安さ」でしかお客様に選んでもらえない状態になるので、いったんは忘れてください。とキッパリお伝えしました。
繰り返しますが、こういったものは、外注体制となっているため、急いで新しいものを作っていっても、外注先を通じて競合にすぐにまねをされ、半年もたたないうちに、見栄えの同じような競合があちこちで、出現してくるからです。
一方で、中々、まねることができないのが、店舗オペレーションであります。
オペレーションというのは、製造業でいえば特別な技術であったり、製造ラインとなるわけで、そこに独自の工夫が盛り込まれた設計図があるから独自のモノづくりができ、そこでの差が、利益となって残るわけです。
しかし、店舗オペレーションに独自性を持たせようとしても、そのモデルづくりから、稼げるようになるまでには時間がかかりますし、なかなか上手くいかないのも事実です。
前職の総合スーパーの時も、生産性向上のプロジェクトがいくつもありましたが、残念なことに実現には至りませんでした。
会社の力量とか、人材とか、時代背景といった様々な要因は、あると思いますが、なによりも、その「実務手順が体系化されたものがなかった」ということが最大の原因です。
西友がウォルマート社に買収されたあと、黒字化になったきっかけは、業務改革を柱とした店舗オペレーションが確立されていったためで、そのノウハウは数年をかけて社内移行していきました。
西友は、EDLPで価格が安いとか、日替わりチラシを訴求しないとか、CMがブラックユーモア的といったことは有名ですが、それを支えて利益を生み出している根幹は、店舗オペレーション改革が主体であるということはあまり知られていません。
このオペレーション業務改革をやり続けているからこそ、「わが社の店舗改革はここまで進んでいる。だから、御社(メーカー)の商品は、いつでもお客様が手に入れることができる体制を敷くから、価格を引き下げてくれ!」と、メーカーと渡り合える、ハードな条件交渉ができるのです。
店舗オペレーション改革とは、単なる店舗の利益のためだけではなく、お客様に良い条件で、必要なとき、必要な分だけを価値をもって、提供できる仕組みを築くことです。
これなくして、店舗の稼ぐ力を安定させることはできません。
その店舗オペレーション改革の軸となるのが、店ごとにつくる作業指示書で、これがあるから競合店との差別化が進められるのです。
そして、そのお客様に集中するための「作業指示書」が、業務改善のきっかけとなり、従業員の意識改革につながっていくこととなります。
今まで、やってきたすべての非効率業務を見直し、少ないコストでお客様に集中するしくみについて、ひとりひとりが真剣に考え改革を進めていくわけです。
こうして改善.実務を進めることができる企業だけが、生産性を上げることが実現できるといえます。
売れない時だからこそ、どうやってお金を稼ぎ出すしくみをもつか?
この「見えない部分」を自社でひねり出すもよいですし、あるいは、その稼ぐしくみに投資することも成長戦略といえます。
さて、貴社では、稼げるオペレーションの改革は どのように進めておられますか?
今日も 最後までお読みいただきありがとうございました。
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