企業ブランドが現場の兼務をラクにする!?
「ウチの会社は人手が足りないし、なかなか増やす余裕も無いので、皆んながいくつもの仕事を兼務しているんです。営業部隊の力も弱いし、新規開拓には本当に苦労しています…」
最低限必要な社員数で仕事を回し、余分な人材を雇う余裕はなかなか無いなあと考える会社は多く、その中でどうやって営業を強化していくかは皆さんが抱える共通の課題のようです。先日ご相談をいただいた社長様も正に同じお悩みでした。
ものを作る会社であれば製造部隊が最優先、サービスを売る会社であれば接客部隊が最優先、モノ売りの会社であれば販売部隊が最優先…と、それぞれの業態によって花形部門は違ってきますが、それでも企業が必ず考えて行かなければならないのは“新規顧客開拓”です。作ったものを使ってくださるお客様、サービスを利用したりモノを買ったりしてくださるお客様を常に探し続けなければなりません。営業部がある会社はまだ良いのですが、私が知っている会社にも、「営業部が無い」又は、あっても1名や2名で行っているところが多くあります。
実際の営業活動はどのようにしているかとお尋ねすると、そのほとんどは
「誰かが兼務している」
と返ってきます。皆さまの会社ではいかがでしょうか?
社長自ら営業や経理を兼務したり、部長や課長が顧客訪問などの営業や現場監督を兼務したり、はたまた、レストランで接客する店員が近所の企業を訪問して「宴会はいかがですか?」と営業をしたり。周りを見渡すと、世の中兼務で溢れています。また、管理者がなかなか育たないと悩む企業では、“デキる”社員が一人二役も三役もこなし“兼務のスペシャリスト”になってしまっているケースも珍しくありません。
経営者にとって、なるべく少人数の優秀な社員が会社を回してくれればこんな有り難いことはありませんが、世の中そうウマくは行かないもので、特に日頃の忙しい業務と兼務で行う“営業”は、とても苦痛に感じているのが実態だと思います。営業数字の目標だけが高々と掲げられ、それを売る意味や顧客に提供できる真のメリットも理解しないまま、ただ、
「どうですか?」
と訪問する営業では、本人も辛いかもしれませんが、相手も決して楽しいものではありません。また、兼務営業の難しいところは、数字の責任が明確でなく、売上が当てにならないところです。ほとんどの場合、“努力目標”はあっても“必達ノルマ”では無いからです。
しかし、考え方を少し変えて、同じ兼務営業でも、その役割を分担することで圧倒的に結果が変わって来ます。
まず、自分達の会社の良さを社員皆んなが誰でも伝えられるようにすることで、社内に“兼務営業マン”が溢れます。個々の商品の特徴や技術の説明はできなくても、会社の良さや楽しさを表情や態度で表すことができれば、電話に出る事務員さんも、商品を運ぶ配達員も、全てが兼務営業マンです。
会社の良さや他との違いを自力で洗い出して行くことで、「これまで、◯◯人のお客様に喜んでいただきました!」「過去にこのような会社とお取引実績があります!」「わが社はココが違うんです!」と自覚でき、自分達はお客様にこのように役に立つんだ!と、社員の意識は驚くほどに変わっていきます。ぜひウチの会社(お店)とお付合いくださいね!…というメッセージが明確に伝えられるようになります。それは、全社員で見込客をつくるようなものです。
そのような土台を作ることで、兼務営業マンのハードルは自ずと下がり、クロージングに力を注ぐことができるようになります。少し時間は掛かりますが、目先の売上を追い続けているだけでは決して出来ない強固な土台づくりです。そして、ここで一番のポイントとなるのが、自分の会社の強みや良いところ…一番気付いていないのは経営者自身だったりするところです。おもしろいものですね。もしかすると、まず初めにやらなければならないことは、
「“会社の強みは自分が一番良く知っているハズ”…という固定観念を経営者が否定すること」
なのかもしれません。
経営者の皆さま。人を増やす事を考える前に、社員の引き出しを増やすことを考えてみませんか?貴方が思う以上に会社にも社員にも宝の山が隠れていますよ。
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