自社の「強み」が発揮できない本当の理由
『取引先に、当社の良さを聞きに行ったら、自分達が《強み》だと思っていたところは、まったく関係のないところで評価されていました…』
先日、当社のクライアント企業さんが、驚きを隠せない様子で告白をしてくれました。
「えっ?自社の強みも分かっていないで営業していたの?」と感じるかも知れませんが…
私が知る限り、大多数の企業が「自社の強み」を知らず…いえ知っていたとしても武器として利用することなく営業活動を展開しています。
きっと、「強み」という単語が、使い古されているのが一要因としてあるのでしょうし、そもそも論として、《強み》と《顧客認識》をセットで捉えていないので、ズレているケースが大半なのです。
具体的にイメージしてみましょう。
例えば、防寒対策として「塗るだけ断熱材」を開発したメーカーが、同施工をすると、室内温度が+3℃あがると謳い、営業していたとしましょう。
防寒効果を必要としている顧客が対象になるので、東北・北海道エリアに絞って営業をしていました。
防寒に「強み」があるはずなので、徹底して「寒さ対策になる証拠」をそろえ、チラシを刷ってはポスティングやDMに投資を費やしてきました。
ホームページも何度もリニューアルし、時間もお金も掛けたのに…
売れ行きは芳しくありません。
ある日、購入者に直に話を聞く事の大切さをしった経営者は、プロのインタビュアを連れて、客先に訪問することにしました。
そこから浮き彫りになった事実は…
「最初は防寒対策でいれました。確かに温かくなったような気はしますが…、それより何より、施工後に隣近所から《ピアノの音がしなくなった》と、喜んでもらえたのです。でも娘はピアノの練習をやめたわけではないんです。どうやらこの施工は“防音効果”にも役立っている様ですよ」
と。
この事実を知ったメーカーはエビデンス(証拠)を取り始めました。
すると、事実、高い防音効果があることが証明されたのです。
防音効果を効用として実感する人で、パッと思いついたのは最初に話を聞かせてもらったピアノ愛好家です。
そして、この人達に独自に練り込んだ営業戦略を企て、アプローチしたところ…
ものの見事にヒットして、施工の取引実績が増えていきました。
防寒対策としての「施工」の売れ行きは芳しくなかったものの、防音効果の「施工」は、営業コストが掛からないわりには、高収益販売が実現できてしまった…。
このように、下手な鉄砲を打つ時間とコストを考えれば、しっかりとターゲットとそのターゲットが享受できる効用を見極めることが高収益体質を生み出す源泉となります。
それに現実問題として、セールスの切り口と顧客の欲求がズレたままま放っておくのは、大きな損害に繋がります。
本来、顧客になり得る見込客を獲得できない「チャンスロス」が、その損害です。
これが1年続けば。
かりに2年、3年と続けば…。
損益計算書に計上できるであろう「売上高」は、未計上のまま経営され続けることになります。
強みを正しく認識して、強みを活かした営業活動を行うことは、最も投資コストが安く、確実かつ最短に売上をあげていくためのアプローチとなりますから、本気と向き合うことが大切です。
御社は、自社の強みを顧客目線で捉えていますか?
また、その切り口を鋭くしたセールスを展開していますか?
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