職人社長は、自分の役目を正しく認識し、正しい時間の使い方をすること
コンサルティング指導で、ごく稀ですが進捗が遅れる企業があります。
その理由は、社長にあります。正確には、社長としての毎日の時間の使い方に問題があります。その時間の使い方で、年商数億で停滞するか、年商10億を越えるかが決まります。
どの顧客社長も、必ずその日のコンサルティングの最後には、「はい、大丈夫です、やることも明確になりました!」と晴れやかな返事を頂けます。
しかし、次回訪問すると、課題も出来ておらず、進捗がありません。または、その出来が、いかにも矢田が来るので急いでやったというレベルです。
実は、コンサルティングが進まない原因はほぼこれになります。社長が本当に必要なことに手を付けられていないことです。そして、それゆえに、その社長が現場を離れられない最大の原因であり、会社がいつまでもそのステージで停滞する理由です。
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職人社長の特徴
- 社内で一番腕のいい職人
- そして、社員は社長の補佐的業務が中心
- 社員が帰っても、社長はひとり残業をして仕事をこなす
これは多くの創業社長が通る道です。しかし、このような自分が職人として働く時代でも、その時間の使い方によって、数年後には大きな差になっています。
その時は、周囲から見るとどちらもバリバリの職人社長だとしても、10年も経てば、一方は「年商2億の職人社長」ともう一方は「年商10億の本当の社長」の差になっています。
その差は何か、毎日のほんの少しの時間の使い方です。
年商10億になる社長は、どんなに自身に職人としての仕事があろうとも、毎朝本当の社長としての自分の仕事をします。その朝の1時間を、しっかり「仕組みづくり」に充てます。
その日も日中は顧客への案件の対応があります、そして、早くその準備に移りたいところです。そして、この仕組みづくりは、緊急課題でもなく、やらなければすぐに問題となることではありません。しかし、それを堪えて手を付けます。
この年商10億になる社長は、社長としての役目と自分が働く目的を正しく認識しています。そして、その目的から一時も目を離すことをしません。24時間、365日それだけを考え、コツコツと歩を進めます。
自分の働く目的:大きく育つビジネスモデルをつくること
言い換えれば、自分がいなくても回る、しっかり儲かるビジネスのパッケージをつくることです。
そして、
自分の役目:職人である社員が活躍できる仕組みをつくること
言い換えれば、次に入ってくる社員がやりがいを持って仕事に打ち込めるように、その仕組みを整備することです。
その結果、毎年、自由になる時間が増えてきます。社員の活躍できる仕事の割合が増してきます。それを忘れた時には、一瞬で元の「腕のいい職人」に戻ってしまうことを解っています。
部下にやらせるより、自分でやった方が出来がいい、自分がやった方が早い、それを理由にして、また自分が現場に戻る選択をしてしまうのです。そして、目の前の顧客には喜んでもらい、前期より売上げが少し増えます。
しかし、実は精神的には焦りと疲弊を抱えることになります。その時年商は2億、その事業のために自分が働く、社員を養うために社長が馬車馬になって働いており、褒められたものではありません。自分の限界が売上げの限界です。
この時の自分の働く目的やその役目はいつの間にか下記のようになっています。
自分の働く目的:顧客を満足させ、売上げをあげること
自分の役目:いいサービスを顧客に提供すること
これは決して間違ってはいません、顧客も喜んでくれています、そして、その対価としての売上げも得ています、ご自身が「職人」としての人生を選ぶのであれば、これは最高の毎日です。
しかし、自身が起業した時の大きな想いや本来の自分が描いている理想とは異なるようであれば、それは、決して幸せではないのです。そして、自分だけではなく、社員も幸せではないのです。いつまでも社長の補佐業務であり、いつまでも自分が活躍する舞台はありません。
社長も、経営者の動きをしているようには見えません、そのため、自分の将来が好転する兆しが見えないのです。そして、会社を去っていきます。社長は、「数年経って育った頃に、また、社員が辞めていく・・・」と肩を落とされます。
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絶対にこの正しい認識を忘れないでください、
自分の働く目的:大きく育つビジネスモデルをつくること
自分の役目:職人である社員が活躍できる仕組みをつくること
そのためには、毎日少しでもいいので、社長として机に座る時間をつくってください。この認識を持てば、毎日湧き起こる課題も、すべてが事業構築のためのシミュレーションになります。今後のリスクを事前に潰しているのです。よりビジネスモデルの精度は高くなります。
それも、朝の時間を使ってください。朝、最も脳は活発で創造性に富み、勇気ある決断を下せます。夕方、脳は疲れ、深く考えることから逃げ、現状を維持する選択に流れます。
この朝は、一日1回しかなく、一年で365日しかありません。だから、これが解った社長は、休みの日でも、朝だけは仕事をします。貴重なのです。現場を離れられない社長は、この貴重な朝の脳を、今日の案件に使います。
年商数億で止まる社長と年商10億を越える社長の違いは、朝の時間の使い方だと断言できます。
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