「勝ち組成功チェーンとなる独自の作業指示書とは?」
「あの~ A社で使っているレイバースケジュールと同じフォーマットがあるようなのですが、これで人件費は下がるのですか?」とあるスーパーマーケットチェーンの経営者の方からのご相談です。
----------レイバースケジュールプログラム(作業指示書)を単に他社で使っているものを真似て作っても効果はありませんとキッパリ申し上げております。
これをシステム会社に発注して、単にソフトを導入していっても効果は無いだけでなく、導入コスト分は未回収となり赤字投資となるリスクが高いと断言します。
その部分をどう説明すれば、わかってもらえるかが悩む部分なんですが、自転車にはじめて乗るとき同じで、自分の手足でバランスをとって乗って練習してみないことには、知識だけでは、出来るようにはならないのと同じ感覚であります。
初めてであっても、すこしづつでも使いながら導入されれば、その多くのメリットは手にすることができます。
例えば、頑張って仕事を早く終わらせてくれる人への、公平な評価ができますし、特定の人に仕事が集中して過重労働も是正することもできます。
利益に結びつく作業に人員を集中できるため、利益拡大へと繋がっていきます。
さらに、得た利益は給与にも還元し、数年に一度は全ての店舗はリニューアル出来て常に最高の装備とコンディションで商売をすることが出来ます。
一方で、これをやっていない企業では、頑張ってる人に早く帰れといって不満が溜まり、いつも残業している人は決まっていて疲れきっています。
誰もが目の前にある作業から順番にやってくことから、いつまでたっても利益を上げることができません。
店舗の看板は錆び、床や壁はしみで汚れ老朽化が目立ちます。そして、不機嫌そうな従業員が絶えず忙しそうに走り回っています。
チェーンストアとは、店舗は売上利益に集中するため、商品、財務経理、販促、施設開発といった、まとめてやったほうがよい主管機能を本部に集約させています。
店舗運営本部は本来であれば、店舗の人時生産性について集中して考える部署ですが、実際はどうなっているかといえば、店舗の働き方は半世紀前からあまり変わらずその生産性は落ちてきています。
例えば、
□ 商品が到着した順番から、品出しをしていく。
□ 新聞折込チラシを基準に売場をつくる。
□ 一人辞めたら一人採用する。
□ どういう売場がよいのか基準がない。
□ 価格さえ下げれば競合より優位になれると思っている。
□ マニュアルがない、もしくはあっても機能していない。
□ 作業指示書などなくても仕事はできる。
もし、このなかで1つでも当てはまることがあったらかなり危険な状態であるといえます。
「うちはとりあえず、回っているから関係ないよ」という言葉が聞こえてきそうですが、前職のGMSでは10数年前に、まさにその状態から瞬く間に赤字転落し、破綻を経験したのは事実です。
当時は起死回生のためにあらゆることを模索し、これから10年20年先、どうせやるなら迫り来る外資、ネット通販に勝つためのローコストオペレーションは必須と考え、それが結果的に会社を救う原動力となったからです。
これから注目すべきは、強い日本経済を支える、企業の一つとして2015年の9月に政府から出されている、「経済推進政策の新3本の矢」を見逃さないことです。
①希望を生み出す強い経済。
②夢をつむぐ子育て支援。
③安心に繋がる社会保障。
とありますがこれらを自社に置き換えて考えてみていただきたいということです。毎年3%の売上利益の増加の仕組みをもっているか?子育て主婦、介護離職ゼロ化へ向けて、短時間でも働ける労働環境のしくみはできいるかどうか?ということです。
小売業界にこれを置き換えてみますと、ひとつめは、毎年労働人口減が進む中、より少ない人数で毎年3%増の売上利益を上げるために業務改革をやって利益率をあげ、人件費単価をあげていかなければ、人材は集まらなくなりますよということです。
あとの二つは、働き方への対応です。
今までは週30時間のパートさんを雇って 仕事を丸投げしておけばよかったのですが、今後採用できる人たちは、週20時間以下の短時間契約の人たちが多くなってくるということです。
つまり、いつきてもらっても、たとえ少しの時間帯であっても、すぐに作業に入ってもらうことができるような仕組みがないと労働力が確保できないということです。
もう既にそういう傾向は随所で現れていますが、さらに顕著になるということを指し示しています。
そのためには、好むと好まざるにかかわらず、業務毎の仕事の一覧表と作業指示書は、とりくんでいかないと出遅れてしまうということです。
実際にはじめてみるとわかるのですが、レイバースケジュールを理解するまでに、かなりの時間を要するものです。
前職でも定着するのに5年の歳月がかかりましたが、そのメリットは十分とることができましたし、その後もそれが進化し続けています。
大事なことは、すこしづつであっても、高い目標に向かい毎日進んでいくことによって、取り組まないチェーンとの差は、年間365歩の格差となり表れるということです。
さあ、あなたの会社でも独自の作業指示書に取り組んでみて下さい。
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