新しい取り組みを拒む「社員の多忙病」
「新規事業を立ち上げないと、3年後には会社は低収益体質になります。今のうちに次の柱を作りたいのですが… 社員がみな多忙で何も進まないのです」
先日とある企業の社長がポツリとぼやいた愚痴ですが、これは多くの企業に見られる「社員の多忙病」という病気です。
こんなことを言うと「私たちは本当に忙しいんだ!」と激高されそうですが、私の経験上、正しく現実を見極められていないケースが大半です。
事実「まったくの隙間時間もないほど忙しい!」という訳ではなく、「段取り分からない仕事に取り組むための「考える時間」がないほど忙しい」と思わざるを得ないケースによく出くわします。
例えば、あるプロジェクト会議で…
「それは良い案だ!すぐさまやるべきだ!!」と盛り上がっても「だれが、いつまでに、どのようにやりますか? 担当を分けて考えましょう」と私が話を進めようとすると、いきなり下を向いて口を閉ざしてしまう…」
そして、二言目には「いや、私は本当に忙しくて…」と言いながら、ランチに出掛けると世間話に花が咲いたりしている…。
あれ?忙しいって言わなかったっけ? と、無性に腹立たしく感じたことは、一度や二度のことではありませんでした。
“なるほど…自ら手を挙げれば、責任を負わされるし、実務まで私が受け持つことになりそうだ…”と感じ、「どうやってやったら、構想が最も上手く立ち上がるのか?」と、議論の切り口をすり合えたところ、いきなりまた発言が活発化する。
その上で、実務は、外部に任せるという手があることを話すと、さらに皆の目が爛爛と光り出す事もよくよくあることです。
忙しいというのは、9割方言い訳にしか過ぎません。
しかし、これは社員が悪いわけではなく、ある種「自然の防衛本能」だとも見て取れます。
従って、新しい取り組みをいかに実現するか?は、実務と切り離して議論できる場を設ける事で、ブレイクスルーできることもあるのです。
また、新しい段取りを構想するチカラが欠けている場合は、経営陣や外部者が支援して「段取り提示」をする必要があるケースも良く見受けられます。
と言うのも、私自身も振り返ってみると、取り組みが遅れる仕事というのは、段取りがスパッとわからない仕事ばかりです。
また、膨大に時間が取られるかも知れない…という仕事は、どうしても遅れ遅れになっています。
ところが、手掛けてみて意外にも簡単だったり、予想外にもアッという間に終わってしまい拍子抜けしたことは山ほどあります。
人は、新しい取り組みには多くを見積もり、これなれた仕事は少なく見積もる傾向がある。
これは、自分自身を振り返っても、他者を観察していても、間違いなく断言できる現実です。
段取り8分に、仕事2分と言われるように、大抵のボトルネックは「段取り」にあります。
ここのボトルネックを外してしまえば、ほとんどのケースで、ゴロッと新しい取り組みが動き出します。
構想は良いけど、いつも具体化しない…。
こういった現実が日常化しているときには、具体的な段取りを全てイメージでいる司会者を立て、“どうやったら、構想が最も上手くいくか?”を考える場を強制的につくることが、構想を具現化する最良の手立てとなります。
御社では、思い立った「良案」が、多忙を言い訳にゴミ箱に捨てられていませんか?
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