知的財産活用のための教育体系とは~社長、従業員に興味を持たせてください
以前、このコラムにて「知的財産活用に必要なのはT型人間である」ということを申し上げました。
今回は、そのT型人間を具体的にどのようなカリキュラムで育成していけばいいのかについて、私なりにヒントを提供します。
いわゆる、知的財産教育です。
私自身、企業内での業務活動の中で従業員に対し知的財産教育を担当したり、独立後に知的財産セミナーの講師として登壇させていただいています。
例えば、知的財産に関する教育のカリキュラムがしっかりできている企業では、以下のようなカリキュラムで従業員教育を行うことが考えられます(あくまでも一例とお考えください)。
知的財産の基礎(対象者:新入社員)
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発明発掘の仕方、特許公報の読み方等(対象者:入社5年目までの若手)
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知的財産を活用した技術分析(対象者:中堅社員)
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経営戦略と知的財産の関係(対象者:幹部クラス)
このように、各階層別にそのレベルに適した知的財産の教育を行い、自社内の知財マインド醸成と有能な人材発掘・育成を行うことが可能です。
しかし、中小企業がこの教育カリキュラムをいきなり導入することはなかなか難しいと思います。中小企業では、まず経営者自身が知的財産と経営の関わりとを理解し、知的財産活用に積極的に取り組まなければならないので、むしろ順番としてはまず経営者が知的財産の活用教育を受けるべきであると私は考えています。
その上で、従業員に対し、第一歩として発明や創作活動の楽しさを知ってもらい、積極的に発明活動や創作活動に参画できるようにすることが重要です。
いわば、大企業の場合と逆のアプローチが必要なのです。
では、もっと具体的に、従業員に発明や創作活動の楽しさを知ってもらうにはどうすればいいか?
私自身、知的財産の教育を行う上で苦労し、かつ重要視したのが、「いかに知的財産という難しい代物を、優しくかつ興味深いものであるという風に知らしめていくか」ということでした。
この辺りは、中小企業においては弁理士等の専門家や教育コンサルタントに外部委託する領域であろうと思いますが、私が心がけていたのは、
- できるだけ優しい言葉で表現する。
- 多くの事例を紹介し、実感してもらう。
- 参加した従業員にもワークをしてもらい、実体験をしてもらう。(習うより慣れてもらう)
ということでした。これで、従業員の知的財産に対する興味と参加意識を高めていくことが非常に重要です。
これから知的財産の活用の仕組みを構築されるのであれば、従業員教育をどうしていくかも合わせて考えてください。
「人を育てる」こと、大事ですよ!
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