海外にモノを販売する際に注意すべきこと 最も大切なスキル
この度の熊本県、大分県の地震で被害に遭われたかたにお見舞いを申し上げます。
さて先日、ある農産物の輸出を検討しておられる会社の社長とお話をしていたのですが、その場で、
「山本さん、海外に初めてモノを販売する際に注意することはなんですか?」
と聞かれました。
これは英語でいうとmillion dollar question(100万ドルの価値があるという意味)と言いまして、答えるのが簡単ではない質問です。
様々な視点がありますが、私は
「日本で常識と思っていることも改めて問い直し、商品の販売戦略をゼロベースで練り、プランに反映させること」
と答えました。
ゼロベースで見直すことが大切です。
なぜでしょうか?
あまり私たちは普段意識していないのですが、実は日本人は、非常に狭い同質な世界に生きております。同質な世界で生活していると前提条件が多くなりゼロベースで
思考することが非常に困難になるからです。皆日本語を話し、文化、言葉も同じです。(もちろん関西人と関東人の違いなどがあることなどは分かった上での話です)
宗教もそれなりに多様ではありますが、日常生活や思考回路に影響を与えるほどの
インパクトはありません。
そういう世界で生活していると、「お互いがいちいち説明しない前提条件」がたくさんあるのです。
このような日本は、文化論でいうとHigh context社会です。(バックグランドが同質な社会)
その対照にあるのが、アメリカのようなLow contextな社会です。(バックグランドが同質でなく多様性が大きい社会)
アメリカは移民の国なので、お互いのバックグランドが全然違います。言葉も違いますし、宗教も違います。つまりコミュニケーションにおいては言葉できちんと説明しないと分からない世界なのです。アメリカ人が日本人に比べ自己主張が強い理由はこの文化的な背景も大きいと言われております。(もちろん教育の影響もあります)
海外ビジネスの成功において「異文化理解スキル」や「異文化コミュニケーションスキル」が大きな比重を占めるのはこのためです。異文化の事業パートナーや顧客と向き合う際にこれらのスキルなしでは丸腰で相手と戦うようなものです。
日本のやり方をそのまま海外で行い失敗するケースの原因は、戦略ミスというより「異文化理解スキル」の不足であることも多いのです。
販売面で更に深掘りすると日本のような同質な社会では、お互いにわかりきった前提条件がたくさんありますので一々説明しませんが、海外に物を販売する際には、この同質性がネックになることがあります。
私達が「当たり前」と思っていることが、実は「ウリ」になることもよくあるのです。
非常に単純な例をあげると、日本の公共の交通機関は遅れないし、事故もあまり起こしません。
これは我々日本人にとってはごく当たり前のことなのですが、海外の人達にとっては「すごい!」ということになります。遅れないバスなんてあるのか?という反応もあるぐらいです。
このように、皆さんの商品サービスでは「当たり前」と思っているようなものでも、
海外に出せば、「ウリ」、「隠れた強み」があるかもしれません。
ですから海外にモノを販売する時には、ゼロベースで「商品・サービスの強み」を見直すことをお勧めします。
ただしそれは日本にいてはなかなかできません。
よってわたしどもは初めて海外ビジネスにチャレンジされる企業にはまず海外視察を行ったり、実際に海外展示会に出展することをお薦めしております。
現地を見て現地の声を聞くことにより意外な点が評価されることに気付くということはよくあることなのです。
商品・技術 海外大ヒット化コンサルタント
フォワード・インターナショナル株式会社
代表取締役 山本利彦
(編集後記)
私は海外出張が多いので、
電話やモバイルWiFiの通信費が馬鹿になりません。
そしてコスト削減のためこの度、
海外製ソニーのSIMフリー・スマホを購入しました。
今後はこれを使ってそれぞれの国で
短期間だけ現地のSIMを購入し通信費を下げるつもりです。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。