優れた後継社長ほど財務を重視する理由
よく会社経営の世界では、多少の表現の違いはあるにせよ、『初代が創業して、二代目で傾き、三代目が潰す』という表現が用いられることがあります。私自身は、日本古来の考え方である「守・破・離」のように『初代が会社の礎を築き、二代目はそれを発展させ、三代目は新境地を拓く』ものと理解しておりますし、実際に、当社がご支援させて頂いている二代目社長・三代目社長の方々も、永続的な成功発展を目指し、日々、財務中心の会社づくりで会社を磨き上げていらっしゃいます。
しかし、それにしてもなぜ、このような表現がよく用いられているのでしょうか?
その背景には、事業環境の変化などの外的要因と会社内部に潜む内的要因がありますが、どんな会社にとっても、避けて通れないある経営課題があり、その点が大きく関わってきているといえます。それは、「会社や事業のライフサイクル」の問題です。
この会社や事業のライフサイクルは、「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」という成長カーブを描くとされていますが、多くの場合、事業承継を迎えるタイミングが、「成熟期」あるいは「衰退期」に重なってしまうものなのです。
既存事業に関しては、テコ入れをして集中特化戦略をとったり、あるいは事業規模を縮小したり、場合によっては撤退したり・・・と、厳しい決断を求められるケースが多いものです。しかし、既存事業について「守る経営」「捨てる経営」の決断をするだけでは、会社の未来を創ることは、到底できません。社員や家族を守るために、自社の真の強みを生かした新たな取り組みにチャレンジすることによって「攻める経営」の決断もしていかなければなりません。
もっというと、昨今では、どの業界・業種であっても過当競争が厳しさを増しており、売上自体はなかなか増えないにも関わらず、原材料費や人件費は上がっていく傾向にあります。そんな時代の流れもあって、会社を永続的成功繁栄に導く後継社長ほど、「社長と会社にお金が残る仕組みづくり」の重要性にイチ早く気が付くものなのです。
会社の未来を守るための辛く厳しい決断をするにあたっても、社長自身が正しい経営判断を下すための「社長専用のモノサシ」を持っていなければ、タイムリーで正確な判断を下すことができません。自らの決断に責任を持ち、自社の経営を正しく省みるためには、「社長専用のモノサシ」は不可欠なのです。そして、その日々の財務中心の会社づくりの取り組みこそが、事業永続のキーポイントとなるのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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