営業への投資効果を飛躍的に高めるアプローチとは
競合の真似をすると、社員からも軽く見られる……確かにその通りですよね
前回のコラム(他社の成功事例を鵜呑みにする社長は、社員の仕事力まで奪っている?)は、とても好評だったようで、たくさんの反響をいただきました。
「モノマネ主義」が正当化されるなか、大多数の方は、藤冨の違和感と、同じように感じていたようです。
たしかに、モノマネをした方が、成功確率も高い…というよりは失敗するリスクが一見低く見えます。
でも、行き着く先は、「尻つぼみ」です。
なぜなら、売上が下降曲線を描きはじめた時に、対策案が出てきにくいためです。
そもそも、自分で考え出した事業モデルではないので、修正案が出てこないのは、アタリマエと言えば、アタリマエです。
従って、産みの苦しみ、育ての苦労はあるものの、独自の考え方で商売をしていった方が、長い目で見た時には安定していきます。
これは、新商品しかり、新しい売り方(営業体制のつくり方や販促手法など)しかりです。
ただ、新しい取り組みというのは、成果がスグに現れないことが普通です。
そのために、成功するまえに諦めてしまうケースが多いのが残念。
そこで、「新しい取り組みの初動を着実に高めるアプローチ」を実践することが大切です。
先日、このテーマについて「我が意を得たり!」という素晴らしい本に出会いましたのでご紹介しましょう。
京都大学の客員准教授でエンジェル投資家でもある瀧本哲史氏の「戦略がすべて」(新潮新書)という本です。
この書籍では、「勝てる土俵をつくり出す」というテーマで、2012年ロンドンオリンピックにおいて日本が過去最高のメダル数を獲得した舞台裏が描かれていました。
これは、ズバリ「事業を成長・発展させるためのアプローチ」にも当てはまります。
かいつまんで、ご紹介しましょう。
「勝てる土俵をつくり出す」ポイントはいくつか挙げられていましたが、秀逸だと感じたアプローチは、「投資配分」です。
日本は’10年の広州アジア大会から「マルチサポートハウス」という出場選手の支援体制に投資を行ってきたそうです。
2012年ロンドンオリンピックでは、国が5億4000万円を投じ、選手村から徒歩10分の距離にある、普段は劇場として使われている建物をサポート施設として活用しました。
交代浴ができるリカバリープール、ミーティングなどに使えるスペース、高気圧酸素カプセルや睡眠をサポートする寝具などを設備も充実。
このハード面も見逃せないのですが、本質的に着目すべきは、配置されたスタッフの陣容だったそうです。
競技の枠を越え、出場選手達の「フィジカル(身体)面やメンタル面」のみならず、競技技術の向上支援まで行っていたとのこと。
具体的には、映像解析や動作解析、戦術分析を行うスタッフにいたっては、40名も常駐していたそうです。
私自身の気づきでも、このサポートスタッフの存在は非常に有効だと感じています。
と言うのも、私は、半年前からゴルフを始め、週末には「ゴルフスクール」に通っています。
そこで、自分を客観視できる「ビデオ撮影」の効果について、非常に有効だと認識していました。
腰の確度を数値的に算出したり、スイング軌道のあるべき姿との差異を客観視できたり…と、何をどうすれば上達できるのか? を動作解析によって、見える化してくれるのです。
お陰で、スコアを半年で40近く縮めることが出来ました。
話をオリンピックに戻すと、予算がつきやすい競技であれば、このようなお金のかかる支援体制を問題なくつくることが出来ます。
でも、予算がつきにくいマイナー競技は、メダル獲得のポテンシャルがあっても、技術向上の可能性を押し広げることができず、残念な結果に終わる確率が高くなる。
この課題を克服する手段として機能させたのが、「マルチサポートハウス」という支援体制だったというのです。
メダル獲得数を最大化する戦略を考える際には、選手そのものに投資を行うことを発想しがちです。
- 良い選手を発掘する。
- 選手一人一人の技術向上に向け投資を行う。
たしかにそれも大事だと思います。
しかし、2012年の史上最高38個のメダル獲得という結果を見ても分かる通り、選手自体に着目するよりも「支援体制のあり方」に着目した方が、組織目標を達成しやすいのが現実です。
これは、アスリートを営業マンに置き換えて考えた際にも、まったく同じことが言えるのではないでしょうか。
とかく「売れる営業マンが欲しい」と発想したり、「売れる営業マンになるよう教育したい」と思いがちですが、それは組織目標達成という点から見れば、不合理であったりもします。
「期待する成果をあげるためには、企業活動はどうあるべきか」
そして「あるべき姿の組織運営を整備するためには、どのような支援体制が必要なのか?」
といったアプローチの方が、確実に売上金額の最大化(メダル数獲得の最大化)に近づいていけます。
藤冨がいつもセミナーでアプローチしている内容も、本質的にはまったく同じです。
営業という枠を超えて、商品・サービスのあり方から、営業支援(販売促進)のあり方まで、言及しているのも、そのためです。
今の時代、営業部隊だけに焦点をあてて売上をあげようとしてもムリがあります。
営業という狭い思考回路をぶっ壊す必要があるのです。
御社においても、業績向上の支援体制のあり方を、今一度真剣に考えてみませんか?
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