後継社長がチャレンジしなければならない理由
当社は後継社長に「チャレンジしてくださいよ」と常に申し上げています。後継社長は、良くも悪くも先代社長と比べられてしまいます。
「先代は創業者だけあって立派だったけど、今の社長は…」
「社長、もうちょっとシッカリしてくれえ~」
こんな風に言われている後継社長もいるでしょう。言われなくても、社員の心の中では、このように思われています。
当社のお客さまで、後継者がイマイチ頼りないためなのか、他人をワンポイントリリーフとして社長に据えた会社があります。父親である会長の期待を感じていないためか、当人はマイペースです。それでも会社自体は立派なため、今のところ順風満帆で事業を行っています。
しかし将来はどうでしょう? このまま何の苦労もなく、エスカレーターに乗ったように社長に就任したとしたら、本当に荒波を乗り越えていけるでしょうか?
この話を、実名を伏せたうえで別の会社のお客様に話したところ、その会社の後継者はこう答えました。
「自分は大丈夫。チャレンジしています」
「ウチは遅まきながらSDGsに取り組んでいます」
そうじゃないんです。そうじゃなくて、戦略的なチャレンジのことを言っています。
例えば、昔はやったISOとかBCPとか、そんなものではないのです。そんなものは、事業をうまく進めるための方法や道具にすぎません。言うなれば対処療法です。
当社が言うチャレンジとは、新たな戦略、次の一手、新しいレールのことを言っています。
創業社長は自身の小さな種銭を使って売り上げや利益を上げ、社員を雇い、少しずつ会社を大きくしてきました。それは何もかもがチャレンジでした。チャレンジしなければならない状況を自ら創り出していたのです。そして、今の経営基盤を作り上げました。
一方、後継社長です。後継社長はある程度、経営基盤はできている状態です。したがってチャレンジしなくても、今のまま経営を続けても、大波が来なければ乗り切っていけるでしょう。
ところが、世の中そんなに甘くありません。いつか必ず大波がやってきます。バブル崩壊、リーマンショック、パンデミック…。そのたびに古い体質の企業は淘汰され、新しい企業が生まれ育ちます(ちなみに、政府の臨時的な補助金制度などは、ありがたい反面、ゾンビ企業を生きながらえる機会になっているという批判もあります)。
もちろん、このような大波が来たときに、持ちこたえられるような事業構造に作り変えることが後継者の役割とも言えますが、それとは別に、先代とは違ったレールを自分自身で敷くことが求められます。
これは何も突拍子もないことをやるとか、世間をアッと言わせるような大げさな事業を始めるとかではありません。今ある強み、ノウハウ、知恵を使って新たな収益の柱を作ろうというものです。
それができれば、もちろんいつ来るか分からない大波にも備えられるし、世間の先代との比較にも堂々としていられるでしょう。
この先代との比較は案外堪えるものです。自然に耳に入ってきますし、面と向かって直接的に言われないことが拍車をかけます。それでも、のほほんと極楽とんぼのようにふるまっていられるなら、それでもいいでしょうが、迷惑なのは社員です。それも分からないから極楽とんぼなのですが…。
世間の良くない評判は、なかなか消えるものではありません。極楽とんぼのレッテルを貼られたら、なかなかはがせません。
しかしチャレンジしていれば、そのようなレッテルを貼られることはありません。仮にチャレンジして失敗をしたとしても、優秀な経営者からは「よくやっているな」「頑張っているな」と評価されます。
一方、心無い経営者は、その失敗を揶揄します。
「あんなことやって失敗していい気味だ」
「そのうち、つぶれるんじゃないか?」
こんなことを言う経営者は放っておきましょう。一流の優秀な経営者なら、たとえそれが失敗したとしても称えられます。
以上、後継経営者がチャレンジしなければならない理由です。
- いつ来るか分からない大波に備えて、新たな収益の柱を作るため
- 世間、特に一流の経営者からの評価を得るため
一流の優秀な経営者のグループには、一流の優秀な経営者が集まります。だから増々、会社が発展するのです。あなたは一流の優秀な経営者仲間に入りたくないですか?
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