節税好きの社長ほど資金繰りが苦しくなる理由
会社の調子が良い時ほど、気を付けなければならないこと。それは、「節税商品」の落とし穴です。
節税商品の売り手となる方々は、「経営の調子がよさそうだ・・・」「羽振りが良い会社だ・・・」という情報をイチ早く聞きつけて、社長の元にやってきます。そのスピード感と情報収集能力は、目を見張るものがあります。
一方で、買い手となる社長の方は、事業永続のキーポイントになる「お金」や「財務」に関する知識や理解が不足していることが多かったりします。
そのため、節税のことだけを考えて節税商品を購入した後、資金繰りが圧迫されてしまって、資金不足に陥ってしまうのです。
多くの社長にとって、税金の支払は負担であることに変わりありません。
「ただ税金を払いたくないから…」という目先の痛みを逃れるだけの理由だけで、「お金が減っていく節税対策」を繰り返すと、資金が目減りするだけでなく、資金繰りも悪化する一方です。社長自らが「自分の会社の寿命を縮める行為」をしていることと同じです。
お金が減っていく節税対策は、節税商品を購入して節税対策をするため、意図的にお金を使って赤字を作り出します。その結果、財務体質は、強くなるどころか弱くなっていきます。
当然、銀行の格付けも落ちていきます。銀行の格付けが落ちれば、どんな未来が待っているでしょうか?
まず、自由にお金を借りられなくなります。自由にお金が借りられない会社が、本当に困った時、どの銀行も、蜘蛛の子を散らすように、跡形もなくサッと逃げていきます。
当然ですが、会社の成長を加速するための投資に必要なお金も貸してもらえません。つまり、無意識のうちに「ドンドン経営が苦しくなっていく…」という負のスパイラルが待ち受けているという現実に、社長自身が気付かなければならないのです。
会社経営の本質が「お金を増やすこと」であることを鑑みれば、「お金を残す技術」ともいえる「節税対策」について高い関心を寄せることは、当然なことです。しかし、正しいやり方を実践するためには、根本的に「財務」の知識が不可欠なのです。
なぜなら、実践しようとしている「節税対策」が真にお金を残すものであるかどうかを見極めるチカラが必要だからです。
特に、同族会社の場合は、会社に課税される法人税等だけではなく、社長や同族オーナー一族に課税される所得税や相続税についても気を配らなければなりません。
したがって、同族会社の社長は、人一倍、税金について知っておかなければならないのです。
現実問題として、多くの社長が「節税対策をすればするほど、なぜかお金が減っていく」という負のスパイラルに陥ってしまいます。
なぜなら、多くの社長が、「節税対策」イコール「節税のために、何か商品を購入する」という風に考えてしまっているからです。もっといえば、節税商品のメリット・デメリットを真に理解する前に、購入の意思決定を下してしまっているのです。
さらに悩ましいのは、「節税対策をすればするほど、なぜかお金が減っていく」という負のスパイラルに陥ってしまっている場合、社長本人が、なかなか「気が付けない」のです。
その結果、いわゆる節税商品を購入してしばらく経ったところで、「何かおかしいな…」と気付きます。
しかし、自覚症状が芽生えた頃には、既に資金繰りがひっ迫していたり、あるいは、不足資金を補うために金融機関から追加で資金を調達したりするレベルにまで状況が悪化しているものなのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。