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SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

時代の「商品リニューアル」志向

洋服のリメイクや染め直しによるリウェア、靴下や布のダーニング(イギリス由来の繕い)、廃材や端材活用など、生活者の価値観が、スクラップ&ビルドで生まれる新商品を求めていた時代から「商品リニューアル」による新しい価値創造を求める時代に移り変わっています。ほぼ無意識レベルで変化しているのです。

そもそも資源の少ないわたしたちの国では、商品リニューアルは当たり前の価値観でした。江戸時代の400年はまさに、リニューアルの循環が成熟した時代です。一枚の着物は雑巾やオムツに断裁して再活用しました。着物はリニューアルしやすいように直線で設計されています。直線で断つことによって、布に無駄がなくなるのです。こうした知恵と工夫、逆算の発想がわたしたち日本人のDNAには組み込まれているのです。

かつて「エコロジー」「エシカル」「サステナブル」「SDGs」という広告代理店発想で、ブームとしてお膳立てられた時代がありました。それは約7年毎のサイクルでやってきて、お祭りとして楽しまれてきました。

しかし、今の気分は異なります。商品リニューアルに「価値がある」と感じているのは生活者です。生活者自らが価値を再発見し、楽しみ、喜びを見出し、この地球という星に生きる一人として選びはじめています。パンデミックにより人間の価値観が覚醒し、進化向上したと考えることができます。20年後から振り返った時、まさに今が価値観の「変換点」だと確信しています。

宇宙旅行と「たなごころ」

世界中では気象変動が要因の自然災害が相次いでいます。また2021年は民間人による宇宙旅行がいくつも実現しました。そして今、宇宙ライフもお金を出せば体験することができるようになり、「ネタ」として切り売りされています。SNSで配信され、わたしたちは慣れ親しむようになり、意識の上で、とても身近になりました。

この2年を経て、生活者が「変わること」を選択しました。きっかけは10年に一度の疫病という外部環境の変化です。月日が過ぎて今はもっと主体的で積極的な意思流れ、時代の空気感、生活者気分が生まれています。いかがでしょうか?

商品戦略を考える上で必要なのは「たなごころ」の発想です。たなごころ、という言葉には2つの意味が秘められています。ひとつは「掌」です。「手のひら」の発想です。

日本語には「手を通す」「手を掛ける」「手を加える」「手触り」「手間」といった、手の感覚表現がたくさんあります。オンラインでのコミュニケーションが増えれば増えるほど、商品に触れたとき、手に乗せたときに感じるリアルな重み、指先で感じる触といった、モノの実感を生活者は欲しています。「手」の感覚に訴えかける商品やサービスが求められています。

もうひとつのたなごころ、とは「棚ごころ」で、弊社の造語です。棚とは、商品を陳列する「棚」のことです。リアル店舗を象徴した意味を意図しています。リアルな「棚」という場。「棚ごころ」を通して、お客様と店主、お客様同士、店主同士がつながる「場」です。そしてバーチャルな仮想空間(メタバース)での「棚」、すなわち店舗を指しています。アナログとデジタルの両刀の「棚」に新しい価値観を見出しはじめています。

12月13日より、スターバックスコーヒーでは、季節限定で「日本の木から生まれた楽器」を発売しました。群馬県みなかみ産材のミズキやサクラの木からできたカスタネット、岐阜県産のブナの木を使用して作ったギロ(外側に刻みを入れて棒でこすったり叩いたりして演奏する打楽器)、岐阜県高山産材のブナの木を使用してベルなどです。若い人を中心にSNSでクチコミされ話題になっています。

そのほかにも、例えば神奈川県も木材再生による商品リニューアルがさかんです。小田原市では「かまぼこ」などの加工品が盛んに造られていますが、かまぼこに使われる板、木材の端材をリニューアルした木工商品がとても人気を呼んでいます。近隣の箱根も同じ発想で、古臭かった寄木細工が商品リニューアルによって甦っています。

一方、都内では今、若い人を中心にシェア型書店が広がっています。本好きたちがスペース内の小さな箱形の本棚を借り、それぞれが店主=棚主として本を売る仕組みで、「ひと箱の本屋さん」と呼ばれています。渋谷駅に直結する「渋谷ヒカリエ」の「渋谷〇〇書店」、吉祥寺の「ブックマンション」、下北沢の「ブックショップトラベル」など、若者層が集まる街にジワジワと増えています。

シェア型本屋では、棚主たちは自分で本を持ってこなければならないし、店番も交代ですることがあり、めんどうなことをしなければならないのです。そういうことをやってでも、店主たちは「自分の好きを発信し、それが世の中に流通する面白さ」や「おすすめの本を並べて、値付け、帯文、並べ方などに工夫をこらす。売れた時、売れなかった時の面白さ」に価値を感じ、楽しんでいます。

 

商品戦略に「二刀流」エッセンスを

気象変動から災害、エネルギー危機、経済格差や差別、テロ、暴動などさまざまなことが複雑にからまり合いながら、また元の生活に戻ろうとしています。2020年から始まったライフスタイルの変化は、価値観の「新陳代謝」となりました。ITやAIなどの最先端技術をフル活用しながら、物理的な質量がある「アナログ」も使う、「二刀流」の状態を維持できる企業が生き残っていく時代です。

新しい時代の価値観をしっかりと受けとめ、新しい文化を創造すること。これが2022年の挑戦であり、進むべき方向性です。胸躍るような、新しい世界が数ミリ先に待っています。数字を稼ぐためのネガティブニュース、フェイクは増えるばかりです。この2年で嫌というほどわたしたちは肌で感じ、学んだことではないでしょうか。

あなたが目にした、耳にしたニュースや噂、学説に正解がありますか? あなたが信じているニュースソースの根拠はどこですか? もう決まっているって、そうにちがいないって、それは誰が決めたのでしょうか? 決められるほど単純、単一、シンプルでしょうか? むしろ逆ではない? 多種多様ゆえに強いのでは? 優しさこそ真の強さではない?…

オプションは自分たちで選んでください。選択肢は自らが創ってゆくのです。狭く絞って小さくなってはなりません。広く高く、深く大きく発想する時です。佳き2022年となるよう、この2年のフィードバックを進めてゆきましょう。

 

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