サステナビリティと儲けの関係
「ニシダ先生、SDGsを実践する必要性は理解できたと思うんですが、企業はそれでおカネ儲けをしても良いものなんでしょうか?なんだか悪いような気がして・・」先日、とある研修講座に出席してくれた民間企業人の方からのご質問です。ここまでストレートな質問を受けることはさすがにそう多くないのですが、この質問に頷く参加者も見られたことから、いまだに少なくない企業人が社会改善と儲けの関係について上手く整理できていないことが見て取れました。
社会のために良いことをする意義は良くわかる。企業が一定の責任を負うべきと言う考え方も理解できる。でもそれは営利的な活動とは本来違う性質のものだから、それで儲けるという発想はどこか違うのではないか?最大公約数をコトバにすると、たぶんこんな疑問なのだろうと思います。
確かに企業にはさまざまな特色があって、その特色はまさに100社100様ですので、最大公約数が全てを説明することにはならないかもしれません。特にゴリゴリの営利追求企業にとって、社会改善は異次元の取り組みであろう、という推定もおそらくその通りだろうと思います。
しかしながら私のセミナーを受けたり、社員を研修に参加させてくれる企業について言えば、社会の持続可能性(サステナビリティ)について多少以上の問題意識を持っているはずで、そうでなければそもそもセミナーや研修への取り組みを検討したりするはずもないと思っています。
社会改善への取り組みは、サステナビリティを考えるうえで最重要の課題です。これは社会の構成員一人ひとりが責任を持つべきもので、役所や学校、住民そして企業がそれぞれ果たすべき責任を果たしてこそ、その社会はサステナブルなものになってゆきます。ポイントはその活動原資がどこから来るのか?ということです。
単なる社会貢献であれば、今ある社会の役に立つことをやれる範囲でやれば良い、ということになりますので、活動原資もさほどの金額にならずに済むのかもしれません。しかしながら社会改善となれば、今ある社会を何らかの働きかけによって変えてゆく、という要素が入ってきます。社会を変えるには当然のこと、ある程度のコストがかかります。役所や学校であれば税金や予算をその原資にすることができます。では企業の場合はどうでしょう?
役所の補助金と言う選択肢も当然考えられるわけですが、それだと役所の文脈を尊重することが求められ、どうしても窮屈な動きを強いられることになります。社会の一員として、むしろ堂々と社会改善を働きかけてゆくためには、企業自身の原資が不可欠なのです。そしてそれを担保するのが他ならぬ事業収益なのです。
企業が取り組むべきサステナビリティの追求、そして社会改善への取り組みについてしっかりと理解いただければあっという間に氷解する疑問なのですが、他方で社会と企業のあり方に関する理解が曖昧だと、「果たして企業は儲けて良いのか?」みたいな漠然とした疑問に憑依されたまま、悶々とした時間を過ごすことにもなりかねません。
社会のサステナビリティを志向する企業には、社会と企業のあり方をしっかりと理解して、堂々と事業収益の追求を主張していただきたい。当社はそんな企業をいつも全力で応援しています。
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