経営者が考えるべきDX(デジタルトランスフォーメーション)
「最近、頻繁にDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞くのですが、どういう点に注意して対応すればいいのですか? もちろん、髙窪さんの本業ではないことはわかっているのですが、元銀行員ということでわかる範囲で教えていただけませんか?」──とある経営者の方からのご相談です。
元銀行員だから、ということで、専門外のことについてもご相談をいただくことが多いのですが、さすがにDX(デジタルトランスフォーメーション)ということになると・・・
私自身はパソコンにさえに弄ばれることも多いのですが、経営者としてのDX(デジタルトランスフォーメーション)取組の前提となる留意点について、私なりの考えをお伝えしました。
まず、DX(デジタルトランスフォーメーション)はそもそもどのようなものなのでしょうか。
超基礎的な理解と共通言語だけでも理解しておく必要があります。
(実際のDXでは、AIの導入が不可欠とのことですが、超基礎的な理解ですので割愛します。)
①デジタイゼーション:情報をデジタルツールでつくる。アナログからデジタルへの移行。
②デジタライゼーション:情報のやり取り、共有をデジタルツールでおこなう。デジタル化されたデータを活用して、作業の進め方やビジネスモデルを変革する。
③デジタルトランスフォーメーション:(ツールの導入を行うといった局所的なIT導入のことではなく)デジタル技術の利活用で、根本的なビジネスモデルそのものを変えること。主に人や組織に関する変革を指す。
用語の理解ができたところで、実際の取組について東京都のDX事例を見てみましょう。
東京都は、2020年2月にはスマート東京実施戦略を公表し、「『電波の道』で『つながる東京』」「公共施設や都民サービスのデジタルシフト(街のDX)」「都庁のデジタルシフト(都庁のDX)」の実現に向けた取組を推進しています。
ちなみに、東京都では、つぎのようなマイルストーンでDX(デジタルトランスフォーメーション)をすすめていくとのことです。
①デジタイゼーション(現在〜2023年迄に完了予定)
→ 情報をデジタルツールでつくる
PCの電子メールを利用、SaaS、ペーパーレス、FAXレス、等
② デジタライゼーション
→ 情報のやり取り、共有をデジタルツールでおこなう
オープンデータ等
③デジタルトランスフォーメーション
→ 情報の利活用で社会そのものが変わる
東京都の事例からもお分かりいただけるように、ITツールの導入という①デジタイゼーションは、将来の②デジタライゼーション、その先にある③デジタルトランスフォーメーションの実現にとって必要条件のひとつなのですが、これをDX(デジタルトランスフォーメーション)と誤った認識をされている経営者の方が少なくありません。
コロナ禍による非常事態宣言などで、在宅勤務をしようとしても・・・
社内の決裁文書などにハンコを押すため、仕入先への約束手形・小切手の発行や振込のためだけに、わざわざ会社に出勤しなくてはいけない、納品書や請求書のやりとりがファックスである、など、ITツールの導入もせずに仕事をしていたことが、改めて浮き彫りになった企業も数多くありました。
このため一気にデジタル化を推進しなければ、と、ITツールの導入という第一段階のデジタイゼーションと、情報のやり取り、共有をデジタルツールでおこなう第二段階のデジタライゼーション、そして、デジタル技術の利活用で根本的なビジネスモデルそのものを変える第三段階のデジタルトランスフォーメーションが区別されず、DXとして持て囃されているのが現状です。
そして、このような誤った認識で、経営者の方がDXという時代の波に乗り遅れないようにと、社内にDX関連の部署を新設し、第一段階のデジタイゼーション:ITツールの導入を社員に要請したものの、うまくいかないことも多いようです。
DXの第一段階であるデジタイゼーションや第二段階のデジタライゼーションは、主にシステム部、経営企画部、経理部や購買部などの事業部単体でおこなうことが可能です。
しかし、第三段階のデジタルトランスフォーメーションについては、経営者が主体となって企業文化や体制を変えていくことで、初めて実現可能となる根本的な構造改革・ビジネスモデルの大幅な変更であることをきちんと認識しましょう。
そもそも、何のためにDXを推進しようとしているのでしょうか?
現在の事務などを見直しもせず、ITツールの導入という第一段階のデジタイゼーションをしたところで、無駄な事務が残ったまま、無駄にデジタル化することにしかなりません。
第一段階のデジタイゼーションをするに際しても、現在の事務などを見直し、無駄なものは廃止・削除した上で対応しなければ意味がありません。
また、第二段階のデジタライゼーションについては、具体的にどのようにしてデジタル化した情報のやり取り、共有をおこなうのか考える必要があります。
さらに、第三段階のデジタルトランスフォーメーションでは、デジタルの利活用でどのようにコアのビジネスモデルをより良いものに変えていくのかを追求することが必要となります。
何をやりたいのか?どのような課題を解決したいのか? を明確にした上で、取り組みの骨子を決めてからでなければ、無駄に労力を浪費することにしかなりません。
経営者がDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入を決定する際には、会社全体の業務などを俯瞰した上で、経営者自身が中心となり推進していかなければ、結果を期待することはできないのです。
東京都のDX事例にもあるように、プロジェクト全体の具体的なマイルストーンをきちんと決めてから取り組む必要があります。
弊社の主業務である営業に関しては、営業体制・事務の全体像を把握した上で、どのような営業体制・事務が効果的で望ましいのかを検討、それを仕組み化していくことが、DXの前提となります。
新型コロナウイルスによる社会と経済の歴史的な大転換となる「ニューノーマル」時代を乗り越えて、更なる発展をしていくために、あなたもDX第一段階のデジタイゼーションからはじめてみませんか?
あなたはコロナ禍でどのようにDXの対応をしていきますか? あなたはDXで何をやりたいですか? どのような課題を解決したいのでしょうか?
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