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ギフトビジネスコンサルタント

株式会社売れるギフト通販研究所

代表取締役 

日本で唯一のギフトビジネスコンサルタント。流通、通販、ギフトの各業界通算30年以上の経験を持ち、2015年に独立。2017年には培った独自ノウハウを体系化し、ギフトビジネス専門のコンサルティング機関「売れるギフト通販研究所」を立ち上げ、多くの企業を指導。幾多の企業を成功へと導く。著書に『「ギフト商品」を通販で売る』、『儲かる「ギフト化」で飛躍する3大ポイント』がある。

新型コロナ一色の1年が、あと2ヶ月ですね。コロナはまだ収束しませんが・・・。

大打撃を受けた会社、業種業態もあれば、逆にこの機に業績を伸ばした会社、業種業態もありました。

ビジネスの現場では、テレワークの無理矢理?な普及もあり、特に都心部や全国に支店や従業員を抱える企業では、ZOOMなどを使ったオンライン会議が一気に増え、足を運んでいた商談もオンライン商談になったりで、遠方への出張も激減。

家庭内にプチオフィスを作らなければならず、PC周辺機器やデスク周りの商品が飛ぶように売れましたが、これまで会社へ行くことが当たり前だった人々にとって、時間の有効活用が広がり、生産性の上がる人もいる一方、テレワークそのものへの切り替えについていけなかったり、仲間や友人との飲み会にもなかなか行けず、夫婦も子供とも24時間、顔を付き合わせることがストレスになったりと、いいことばかりではありませんでした。

そういったことから巣ごもり需要が特に4月〜7月で一気に吹き出し、年間のギフトイベントの中でもまだまだ需要の高い中元商戦では、年配者利用が大半なので、これまではネット利用でなくリアルに百貨店などに行っていたのが、コロナ感染が怖くて足を運べず、また店側も大手を振ってお越しくださいとは言えない状況に陥りました。

そんな今年の中元商戦はどう大きく変わったのか?

関西百貨店の雄、阪急阪神グループ(エイチツーオーリテイリング(株))が、お中元商戦の前年比の結果を速報で、先日発表しました。

・中元全体前年比   102% (内訳)店頭前年比   90% EC前年比   129%

中元の顧客属性が圧倒的に年配者であにも関わらず、ECが見事に補完し、全体で前年比を超えたのです。

もうすでに始まった歳暮商戦では、そごう西武が、ネット通販に対応するコールセンターの人員を昨年の1.4倍にするとのことで、その理由は明確。中元ではネット通販の使い方への問い合わせが例年の1.3倍も、年配者を中心に寄せられたそうです。

中元・歳暮のような定期的な儀礼ギフトイベントでは、贈る相手がおおよそ固定され、中には毎年同じものを贈る人も多数いらっしゃいます。

毎回、送り先の住所をたくさん書くというような面倒な作業も、ネットでは送り先も一回登録すると何を以前に送ったかの履歴も残り、簡単に申し込めるようになるため、体調面などで行動に制限も掛かる年配の方も、今回の中元でネットも思っていた以上に簡単で便利だと気づけば、次回以降もネットで・・・となるでしょう。

実店舗への来客誘導がままならず、外国人観光客も入ってこない現状のインバウンド需要も当然大きく落ち込んでいる百貨店は、各社ともEC化を推し進める方向に舵を切っています。

中でも高島屋は百貨店ECでトップを走っていますが、先日、社長が脱・百貨店を宣言をされました。トヨタ社長の車を売らないというメッセージに近い、これまでの常識を覆していかねば、新たな未来は築けないという、強い意志表示が窺えます。

ある日の日経MJの百貨店各社バイヤーへのインタビューでは「EC強化ということですが、どのように売上を伸ばそうと考えていますか?」という質問と回答が記事掲載されました。

ほとんどのバイヤーがこぞって同じように答えたのが、この回答でした。

「商品点数を増やす」

「商品カテゴリーを増やす」

あまりにも短絡的だなぁと、この回答を見ながら強く印象を持ちました。

私の前職であるギフト会社在籍時に、今から12年前くらいでしょうか。ある大手コンビニ会社から声が掛かりました。「自社ECサイトに合計10万点の商品をアップし、一気に業界No,1のECサイトにしたい。ギフト商品を1万点ほど供給してほしいのです。画像、商品スペックデータ、セールスコピーをデータでまとめていただけますか。」

データ納品期日まで10日程度しかなかったため、当時の社員10名ほどが掛かって、先方の要望に合う形の仕様に合わせて何とか間に合わせました。

その後、そのECサイトがリリースされ、「どれだけ注文がくるだろう?」と苦労をした分、ワクワクして待っていましたが、1週間、2週間経っても全くその大手コンビニさんから注文がきません。

ギフト商品を1万点もサイトアップしたのに、1ヶ月で2、3件しか注文は来なかったのです。そのまま1年が経過しても同じようなペースで、お互いのビジネスにとって全くいいことはありませんでした。

売れなかった大きな理由は・・・

ただただサイトに商品をべらぼうにたくさん羅列しているだけで、商品の良さや特徴や、顧客が手にした時の体験などが、全く商品ページに落とし込まれなかったからです。

逆に、扱う”商品”を徹底的に減らして、大成功された通販会社があります。

私の著書でも事例として紹介していますので著書をよくお読みいただいいる方はご存知ですが、私自身、長崎本社や東京六本木支社にもよく足を運ばせていただいていた、あのジャパネットたかたです。

2016年時点、売上1,783億円・商品点数8,500点と4年連続で売上増を達成し、過去最高売上を叩き出していました。

そのような絶好調時の今から3年前の2017年、前年の商品点数8,500点をなんと、たった7%、600点にまで絞り込んだのです。まさに大英断です。

結果、どうなったのか?

前年のたった7%の商品だけで、2017年は1,929億円に。前年の最高売上をさらに上回る結果を出されたのです。

要するに、元々の売れ筋商品や、力を注ぎたい商品に対して、徹底的にフォーカスして単品ごとの売上を大きくしたのです。

納入メーカーの方も、先の大手コンビニECの例のように、採用されていても月間たった数個しか注文がこないものを待つより、いっそ切ってもらった方が効率がいいでしょうし、絞られた600点の中に1点でも納入商品があれば、生産や供給に集中できて、計画も立てやすく、寄せ集めの売り上げよりも、さらに効率よく、しかも大きな売上を上げられます。

ジャパネットの内部的には、売上を上げるためや、社員の働き方改革に繋がる様々なメリットも生み出されていて、

  • それぞれの商品の魅力が増した(これが何よりでしょう!)
  • 全商品にWEB上で動画掲載や見せ方の工夫ができた
  • 納期が安定した
  • 自社修理の精度、対応が向上した
  • 商品登録など関連業務の負担が軽減された

商品を究極的に減らして、いいことずくめだったのです。

「大手だからそれで成功したんでしょ?」ではありません。

人材的、品揃え的にもリソースの限られた中小企業のEC・通販だからこそ、ぜひ見習っていただきたい事例です。当然、商品数を減らすことは、とても勇気がいることです。

「ネットの掲載商品を減らしたら入り口が狭くなってアクセスが減り、売上が落ちるのではないか?」

こういった不安が常にある方は多いでしょう。商品点数をある意味無尽蔵にアップできるのがネットならではの良さでもありますし。

ですが、Amazonのように圧倒的な品揃えができますでしょうか?

大手流通企業のように何万点もバックヤード含め、効率よく扱えますでしょうか?

足し算は、誰にでもできます。

難しくて、勇気がいるのが "引き算" です。

ひとつひとつの商品魅力や価値、会社・お店の魅力を分かりやすく最大限にお伝えするために。

そこにあなたの会社や商品の"真骨頂"が見えて、共感するお客様=ファンのコミュニティが形成されていきます。

小売業態の中での通販は今も昔も基本は大規模商売でなく、「この指止まれ」なのです。

 

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