アタマから変われる会社は強い

「西田さん、こんど社長が若手とディスカッションすることになりました。」現在ご指導させていただいている会社(A社とします)の専務さんからこの週末にいただいたメールです。社員の平均年齢も若く、ベンチャー然とした気風が特徴的な会社ですが、長い業歴に培われた収益力はホンモノです。それでも、経営計画書に示されたミッションと企業理念の繋がりがわかりにくい、ということで若手が勉強会を開き、ついに社長と直接意見交換する機会を持つに至った、というのです。
一度社内に配布された経営計画書に若手社員が疑義を唱える、と言う現象はあまり一般的ではないと思います。特に老舗であればあるほど、その傾向は強くなります。他方で、事業の最前線にあって常に顧客と相対する立場にいるのは経営者ではなく社員です。その社員たちが自社のミッションと経営理念について、自らのコトバで社長に質す、というほど意義深い社内コミュニケーションは他にないと思います。コンサルタントをしていてゾクゾクさせられる展開です。
「強いものが勝つのではなく、変化に対応したものだけが生き残る」とは、チャールズ・ダーウィンのコトバですが、「変化に対応する」とは自らもまた変化することに相違ありません。
逆に、新しいものへの対応についてコンサルティングを依頼してきた会社であっても、特に企業理念的なレベルでの変化について、アタマでは分かっていても心理的にそれを嫌がる反応を示す、という例は少なくありません。
企業規模も大きなB社は十年一日のように定常的な仕事をしている会社に顕著なのですが、問い合わせをしてきた中間管理職と経営トップとの間には距離や段差が空いているようで、中間管理職からトップに対する提案がやや通りにくいと感じる場面がありました。今までのやり方を変えずに新しいものに対応したい、とのご相談。それで勝てるなら誰も苦労はないわけで、そもそもコンサルタントに依頼する話にはならないと思います。
B社の中間管理職の方々が、果たしてトップとの距離や段差を埋められるか?と考えると、実は簡単ではないことが見えてきます。なぜなら企業理念のレベルで変化を促すだけの職務権限は経営トップの専管事項だからです。それを承知で若手との議論を受け入れたという点で、A社の社長は勇気ある決断をされたと言えます。
どちらの会社が変化に対応できそうか?ここまでお読みいただいた方々には全く自明ですよね。アタマから変われる会社であるために重要なのは、普段から社長と社員の距離や段差を詰めておくことです。そうできた会社だけが生き残れる、もう何度も繰り返し申し上げていることですが、言って言いすぎることはないと思っているので今週もまた繰り返します。あなたの会社では、社長と社員の間が十分に詰まっていますか?
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