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応援消費の天国と地獄

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

緊急事態宣言か解かれた今、従来の基盤を生かしながら新しいやり方をミックスし新たな道へ踏み出す時です。そして、未来から逆算し自社商品サービスをどのようにリニューアルしていくかが一番大事なテーマとなります。

この1ヶ月半、わたくしたちの暮らしまわりは劇的なスピードで「変化」してきました。自宅でのリモートワークが当たり前となり、常時オンラインの生活になりました。

Zoomをはじめとしたオンライン会議で使う関連アイテムが飛ぶように売れました。「自宅にこもる」生活を支えたのは、わたくしたちの疫病に対する不安感や恐怖感です。こうしたネガティブな感情によって、国が望んでいた「働き方改革」や「IT化」を、一気に推し進めました。

これをお読みになっているあなたには、自粛生活の1ヶ月半、どのような変化がありましたか?

生活者の間では「コロナ太り」や「オンライン会議疲れ」というワードが目につきます。この自粛生活で身体を動かさなくなりました。そして、慣れない在宅勤務のストレスで「ついつい食べ過ぎてしまう」傾向にあると世界各国の医師たちが指摘しています。ストレスで肌の調子が悪くなる、ビタミン補給のサプリメントやケアアイテムが売れている、というレポートを目にすることも増えました。

また、在宅でのオンライン会議にも弊害が生じています。「夜眠れない」「目が疲れる」「頭がいたい」といった不調を訴える声が増えています。自分の家で「常時オンラインの状態がツライ」といった声も出始めています。ご自身の1ヶ月半をふりかえっても、いくつかが当てはまるのではないでしょうか。

1ヶ月半という自粛ライフの出口に立っている今、わたしたちの中に小さな変化が生まれています。たとえば、巣ごもり生活の始まりは満員電車から解放されてうれしかったはずです。スマートフォンなどのITデバイスを使い自分の部屋から買い物をし、宅食し、仕事をする毎日。キング&クイーンとなって暮らしをコントロールし、心地よい時間が生まれました。

しかし、いつの間にか、ITデバイスに自分を合わせて暮らしていることに気づきます。オンライン会議は疲れるし、子供のオンライン学習も横につかなければならない。以前は子供にはITデバイスを持たせたくないと危険視していたのに、今では「オンライン保育」や「オンライン学習」を受け入れ依存していることに気がつきます。

外出すれば、好きだったお店のオーナーが、コロナ禍には自店ファーストだった。信頼していたホームドクターが、コロナ禍には心ない貼り紙をしていた。今まで地域とつながりのなかった会社が、駐車場に特設ブースを作って高価なマスクを販売している。

ツイッターやインスタグラムなどのSNSも同じです。シリコンバレーの天才たちが作った無料プラットフォームをコミュニケイションに役立ててきました。そこには友情も恋愛も、やさしさも喜びも、悲しみも怒りもすべてがつまっているような、新しい関係性を手に入れ、さまざまな人生を掌握しているような感覚がありました。しかし、第1次自粛生活の終わりにはSNSを巡って若者が命を絶つ出来事が起きています。

歴史から学ぶとすれば、緊急事態全面解除後には、感染症の第二波、第三波がやってくるはずです。2021年の東京五輪も、歴史から学べば、「ない」方向性だと確信しております。「新型ウイルスに負けないで日々を生きのびる」といったコンセプトのもと、刹那を充実して生きてゆくような数年間が続くと考えています。

このような背景で、自社商品サービスをどうしてゆくのか。ライフスタイルも、その心模様も、常に、猛スピードで変わり続けている生活者が、自社の「何」を欲しがってくれるのでしょうか。すでに、生活者は「生活防衛」「節約」モードに入っていると報じられています。(日経MJ 5/25号)

この1ヶ月半の体験が、リトマス試験紙となって生きてくるはずです。そこに進むべきヒントがあります。自社を応援してくれた人はだれでしょうか。また、あなたが応援したくなった人、実際に応援した人はだれでしょうか。応援したくなった店や会社はどんな店だったでしょうか? それはどんな会社でしたでしょうか?

1ヶ月半の巣ごもりで、あなたを元気づけ、勇気づけてくれた人はだれだったでしょうか。心を温め、勇気づけ、元気づけてくれたモノ、商品やサービスはなんだったでしょうか。

天国もあれば地獄もある。ステキだと思っていたものが実は色褪せていた。野暮だと思っていたものが、実は輝いていた。そんなネガポジ反転の体験が、この1ヶ月半にたくさんあったのではないでしょうか。

このデジタル時代に、モノを売るためには「良い商品サービス」をつくることです。「つくり手の良い心持ち」が感じられる商品やサービスをつくることです。過去の商品を、今を生きるわたしたちを幸せにする良い商品にリニューアルすることです。

会社は潰してはならない。従業員の方々を背負う社会的責任で、わたくしたち経営者は奔走します。自社商品サービスも同じです。世に出す社会的責任、人間的責任があります。1回目の自粛生活が解除になる今、良い商品サービスとは何か。何でしょうか? 自社商品サービスに対する、あなたのビジョンを総括する時です。ニューノーマル時代を駆け上がる準備は、ととのっていますか? 

 

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