「売上が増えた時の社長の行動がその後を決定づける。飛躍するか!また厳しい状態に戻るのか? 」
「ウチは店の規模が大小いろいろなのですが、それでも標準化って出来るでしょうか?」 とあるスーパーマーケットチェーンの社長さんからのご相談です。
左手にされてる拙著「儲かる個店力最大化のすすめ方」には、色とりどりの付箋が一杯つけられてます。
「この本に書かれていることは そうだなあと思う箇所が結構あります。お恥ずかしながら全然できてませんが、うちのような場合でもやることは可能でしょうか?」
―――― 課題について少し詳しくお聞かせいただけますか?とお聞きすると、
200坪から700坪クラスの店までの店型と業種で展開されているが、業務の標準化といったことができない。
そこにもってきて、昨今の最低賃金上昇といった採用単価増で、販管費は上昇し、持ち出し状態がつづいている。
今は、特需で売れているものの、長く続くことはないので、今のうちにコストをさげられる何かを準備しておかなければとのこと。
――――これからやるとなると時間がないのは確かですが、だからといって、いたずらに事を急ぎ、乾いた雑巾を絞るようなコストカットは逆効果になります。とハッキリ申し上げました。
理由は2つあって、日々お店で買い物をしてくれるパートナーさん相手に、各自がやっている作業をムダと決めつけることで、自社で買い物をしてくれなくなるという直接的な影響を被るということ。
二つ目に社員の場合、いままで自分のペースでやるやり方ができなくなる役員クラスが抵抗勢力となって、動こうとしなくなるということです。
今はSNSが普及していますから、ちょっとしたことでも、リストラ?コストカットが始まるらいしい情報が出回るとすぐ大炎上します。事の真偽は定かではないにしても、某自動車企業を再生させたプロ経営者が容疑者となってしまう時代です。
何かを変えていく際に、人の心の中の「怒り・反感」というものに、もっとも注意を払わなくてはならない時代といえます。
だからといって、手を緩めるのではなく、問題を本質的にとらえ、戦略的に進めていくことで、合意の道筋は作れますし、不要なことにかかるコストさえつかめれば、この先どうすべきか経営判断がとても楽になります。
業務改革に取り組みたくても、なかなか進まない原因の一つに、判断するための個別データが揃わないことから、決断が出来ないという問題があります。
まずは、そういったデータを揃え、提示しながら、理解と協力を促し、ハイコスト構造をローコストに転換させていくことになります。
チェーン企業の組織図は縦割りです、担当役員はそこで決まったことを徹底させていきます。それに対してプロジェクトは横断的に横の連携で動き、全社に有益な業務改革に構造の道筋を提示します。
改革にはどちらも欠かすことができません。プロジェクトが行うことは、企業がいまおこなっている業務を透明化させていくことです。
そこでは、個別に、何をどれぐらいの時間をかけてやっていくか?それが予定どおりに進んでいるかどうか?それを店舗間でばらつきなく出来るようにするにはどうやるのか?を作るのがプロジェクトの役割です。
具体的には、業務項目の標準時間をまず決めていくことになりますが、いざ、自社内だけでやるとなると、どうやればいいのかわからず立ち往生します。また、大手チェーンからきた社員が、ピント外れなことを一杯やり散らかし ホントに必要なことに目が向かなくなり暗礁に乗り上げることもよくあります。
大事なことは、小手先ではなく、本質であり、それがわかれば、標準化は、店舗規模には一切関係していない、だからどの店でもできることは理解できるということです。
簡単な話、業務量がわかれば、必要人時がわかり、お客さまが商品を買いに来られる時間にあわせて商品陳列が間に合うように、人員配置をしていくことになります。
そうなれば、物流納品時間の変更も必要になってきますし、納品の形態変更の必要性も見えてきます。
店こそが、お金を生み出す根本部分であり、そこを起点に仕組みをかえることで、会社の生産性は大きく変わるのです。
実際に、調査を進めていくと、必ずでてくるのが、施設や設備の老朽化や使いにくさ、について会社がやり方を改善しないことへの不信感が上がってきます。こういった手つかずなことも同時に解決させていく企画力こそがものをいいます。
今は、特需で小売チェーンは売上が伸びてるといっても、その利益は決して潤うほどではありません。今後、売上が通常になり、ハイコスト構造だけが目立つようになってからでは手遅れで、今が、企業構造を変える最後のチャンスということになります。
特需の終わりは、新たな飛躍への一歩です。共に頑張りましょう。応援してます!
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