成長企業に見られる特長と絶対条件とは
【今週の提言】
成長企業の社長は「在り方」にこだわり、お客様から絶対的支持を受け、それを社員に見せる。停滞企業の社長は「やり方」にこだわり、現場で叱咤激励を繰り返す。
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職業柄、色々な会社経営者の方と接触する機会が多いが、年商2億円前後で頭打ちになっている企業が軒並み多い事を感じるのである。
傾向として3つのパターンに分けることができる。
その主な一つは、社長が現場の仕組みに取り込まれ、社員に対し叱咤激励を繰り返している事。「何でこんな事も出来ないんだ!」「何度も同じ事言わせるな!」「〜さんはダメだ」こんなフレーズが職場で多くなる。
二つ目は、社長が絶対的権限で、現場の意見を聴かず自身のエゴを振り回し、お客様が視野から外れている事。この状態では、大概の場合、社員はそれに気付き社長に対し注意を促しているが、「それよりもこっちを今直ぐやれ!」と言い、重要でも無い事に命令を出す傾向が多い。まるで社員を「服従」させ「奴隷」の様に扱っている会社をみたことがあるが、決まって社員力は抜群に高い。 しかしこの様な会社では、人それぞれの許容範囲ではあるが、いずれ社員の限界は来るものである。
3つ目は、現在成功している一つのビジネスの仕組みを更に強固なものにするのではなく、分野の違うビジネスにあれもこれもと手を出す経営者の特徴は「全て感覚」でやっており、決まって調査や分析、メリットやデメリットをしっかりとまとめ、計画を立てずに行動している事。
大きく3つに傾向を分けたが、どれも致命的なパターンとなっており、現場に翻弄する経営者がそのパターンに気づく事なく、日々を「感覚」で動かしている事が共通点である。一言で言えば、会社や経営自体に「軸」という判断基準がなく来てしまっているのが原因である。
プロジェクトと事業の違い
見方を変えると、年商2億の事業は中堅や大企業では、小規模プロジェクトである。プロジェクトと言うことは、そこから本腰を入れた事業へと転換していくものである。ここが一つの壁であり、この壁を乗り越える時の発生する処々の難題をどう解決していくか、そこに全てがかかっている。
プロジェクトレベルのものを、「事業」と勘違いして「現状維持」や「放置」しておくと必ずと言っていいほど衰退を辿り自然的に消滅していく。その証拠に中堅や大企業の組織構成を見たときに「~プロジェクト」などという表記はない。全てが「事業部」でありその中に「○○課」が存在する。そのプロジェクトをどのように「部」や「課」にしていくか。効率的に専属部署を作り発展拡大していくか。そこには経営者の、会社としての将来トレンドやビジョンがなければ実現せず、多くはその場しのぎの「作業」で毎日が終わってしまうのである。
プロジェクトから脱し次のレベルに移行するとき、必ずと言っていいほどぶち当たる壁があるとお話したが、それはなんだかお分かりだろうか。ここが一番重要なので今一度熟慮・熟考して頂きたい。
中小が陥る根本的な原因と結果
会社を事業としていくには、それなりに「会社が存続する意味」がしっかりと経営者の中で消化されなければ、その先の経営トレンドを導き出すことが出来ず、今目の前にあるシゴトに駆けずり回り、それが日常となり、習慣となっていく。習慣となるとそこから物事を変えていくのが困難極まりないくらい難しくなり、まるで数十トンの大きな鉄の塊の歯車を、全身を使って回し始めなければならない。これは大げさではなく本当のことである。
なぜかというと、この「会社が存続する意義」が提唱出来ないとなると、経営していくことの基本は「儲かること」や「やりたい事」だけになり、「儲かる」と言う話を聴けばなんでも手を出し、「やりたい事」も難局を迎えると「これは自分がやりたい事ではなかった」と一番大切な局面で手放してしまうようになることである。この状態が増えてくるたびに「習慣化」され、根付いてしまうのである。
よく聞く話が、啓発本を読んで「朝の時間はとても重要」と言う内容に啓発され、「明日から4時に起きて、○○をする!」と決めたはずが、今日も出来なかった、と話す人が多いことと同じである。それが会社レベルで発生するのであるから、どれだけ大変かが想像つくだろう。一度出来ないと、二度目、三度目と失敗に終わり、そこには「出来ない自分」が強調され、自尊心や自信の低下となり、その潜在的痛みから逃れるために「現状維持」を取るようになるのである。そのような状態になった経営者の特長は、
- 判断や決断の先延ばしが多くなる
- 実行力の低下
- 自信損失
- 優柔不断になりがち
- 決断からの逃避
- 変化からの逃避
- 思考的迷走
- 経営の悪化または停滞
- 重要なことからの逃避がち
などが挙げられる。
欠落している部分の認知と補充
これらは、全て「軸」を無くした状態であり、基礎を一から順番に再構築していかなければならない。そのタイミングは、起業した時、プロジェクトレベルから事業化へ向けて考え動き始めたときである。その「軸」は目的であり、目的地に到達した時に更新していかなければならないものである。
多くの中小企業の経営者の方々に見られる傾向は、この目的地を明確にせず、大体の感覚で「年商いくら」を目指してきている。または目的地に到達しても次の目的地を明確にし、それを確実に達成するためにどのような考え方や行動をしていけばいいのかを明確に社員やスタッフに伝えていない場合が多い。
会社を立ち上げ、現在に至るまで、多くのことを手探りで年商数億まで押し上げてきた経営者が、何処を目指し、どんな考え方や行動で現状を築いてきたのか。その想いや想念、勘やコツ、経験が経営理念に盛り込まれ、行動指針に反映されることこそが本来あるべき基本中の基本である。この二つがリンクしていなければ、経営者を含め社員やスタッフは混乱し、経営の危機にさえ陥ることになる。いわば”使えない”経営理念と行動指針である。経営者や社員、スタッフ全員が、この理念や行動指針を読み返し、「ハッ」とし、行動や考え方を正すことが出来る内容でなければならないのである。
この「軸」がないと、困難な状況に対して「心ではでは分かっているが…」と、安易な解決案を選択し、後悔することになる。これは多かれ少なかれ経営者であれば経験をしているはずである。
その現実を変える原点は、「一点に意識を集中させる事。」であり、例えるならば、虫眼鏡に太陽の光を集めたら燃えるという物理的法則である。これは誰しもが小学校で教わり一度は体験しているのではないだろうか。さて何を現実にして引き寄せたいか? 虫眼鏡で集めた光の粒子が熱となり、燃え上がる小さな火を、どの規模まで大きくしたいのか?また何故大きくしたいのか? そのビジョンと決断がなければ現実化は困難となる。まさにビジョンを伴う「在り方」ありきの決断である。
事業化へ向けた最大の成長障壁と解決方法
成長の壁として上記で語った以外に、年商2億のプロジェクトから事業化を考えた場合、成功している仕組を大きくしていくことであるが、そこで発生するのはまず人員の確保である。マンパワーを増やし仕事を増やすことを繰り返して行く必要がある。その時に発生するもう一つの壁がある。それは、「人財の育成」である。人財を短期育成し、任せられる人財をどう育成していくか、という局面に直面する。その時に重要となるのは経営者の「在り方」であり、その在り方は育成の場では大きく影響してくる。
「一切の人生の果実は、その人が蒔いた種子のとおり表現してくる」
これは日本に初めてヨガの教えと実践を心身統一法として広め、その教えは東郷平八郎、原敬(はらたかし)、双葉山、松下幸之助、稲森和夫、大谷翔平など 多くの人が影響を受けた中村天風の言葉であり、その意味は、在り方や想念など、内面的なもの「種子」、行動を「種蒔き」と表し、心の想いに沿ったものを行動と一致させることの重要性を説き、その通りに人生は象(かたど)る、と教えている。
また、天風は、
経営者は「どこまでも人間を作れ。それから後が経営であり、あるいはまた事業である。」
とも言っている。手法やノウハウへ傾きすぎる欧米の方法論は良いところもあるが、日本では「道」であり「道(タオ)イズム」がいまだ主流である。実際に国境を越えた育成の行きつくところは、この「タオイズム」がベースとなり、心を通わせることで、そのあとの育成が可能となる。それが出来ないと「ただの押し付け」となってしまうのである。
世界50以上の教育現場で社内インストラクター制度をつくりあげてきた「人財育成プログラム制度」だからこそ、国境に関係なくその内面的な部分にも光を当て、作り上げていくのが「インストラクター制度」であり、上記全ての成長障壁を網羅し超越した成長企業へと変貌していくことが可能である。
「軸」と「人財育成」その重要性に気づき始めた経営者が増え始めているのか、個別相談(スポットコンサルティング)の申し込みから、コンサルティング契約の流れが早くなってきている。
そのためか、コンサルティングは現在3か月待ちとなっている。年商2億のプロジェクトから”本腰を入れた事業化”を心底から望むのであれば、経営者の「即断、即決、即行動」と「在り方」が試されている時であり、出来る社長の特長は「個別相談の依頼を電話またはWEBから3つ程の日時候補を挙げて申し込み」をされる。
決断と肚を括れる意気な社長を全身全霊で応援したい次第である。
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