社員の改善に対する意欲を業務改善に結びつける
業務改善に積極的に取り組んでおられるクライアントさんに、「なぜ、今回は上手く進んでいると思いますか?」と質問したところ、以下のような回答が返ってきました。
- 1人ではなく、4人がチームとなって取り組んでいる
- 会社の業務として、やっているので、割り切ってできる
- 当面の目標と期限が決まっているので、集中できる
この会社では、従来からも業務改善に取り組んできました。しかし、今までは、「この部分は改善した方がいいのでは?」と提案すると、「じゃぁ、それ君やって!」という具合に、業務改善を提案者がそのまま改善の責任者になるということが多かったのです。
この場合、改善すべき点に気づいた人は、いわば、余計な仕事が増えることになります。そして、1人で責任を背負い込む形になると、「それだったら、言わずに黙っておこうか」という気持ちがどうしても働きます。
また、社員はそれぞれ日常業務があります。このため、日常業務以外に新たな仕事が加わった時に、「では、どっちの仕事を優先したら良いのですか?」と疑問を抱くことがあります。
実際、業務改善に取り組んでいる、あるチームメンバーは、「『今から打合せがあるので、2時間ほど外出します』と他の社員に言う時は、少し心苦しいんです」とおっしゃっていました。
この点、今回は業務改善を行うにあたって
- 改善の意識が高い4人のメンバーが集まってお互いに協力している
- 直属の上司からもプロジェクトの内容についてお墨付きを得た
- 3ヵ月後に最初の報告書を出すという目標を定めた
こともあり、今のところ順調に進んでいます。
社員は誰しも、会社の業務について、何らかの疑問を抱いていたり、それなりの気づきを持っています。しかし、普段の仕事が忙しい中、なかなかそれが表に出てくるとは限りません。また、たまにヒアリングをしても、自分のことはさておいて、「あそこが悪い」と他人や他部署に対する批判ばかり出てくることが少なくありません。
けれども、まずは、いったん社員の生の声を吸い上げることが大事。なぜなら、そこには、会社が抱えている潜在的な課題が必ず見え隠れしているからです。
今回も4人のメンバーが手分けをして各部署の社員にヒアリングした結果、150項目近い改善点が出てきました。今はそれを3つほどに分類して、改善の方向性を示す報告書を作成しているところです。
社員一人ひとりが持っている改善に対する意欲をどう引き出すかは経営者の腕の見せ所。業務改善が進まないのは、社員に意欲がないのではなく、経営者にその意欲を引き出す工夫が足りないからだと自覚できれば、改善は必ず前に進みます。
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