暴れん坊将軍はなぜ愛される?幕府を救った徳川吉宗から学ぶ経営戦術
「コストカットしないとやっていけない。でも……」
コストカットが必須の経営状態の中、中々踏み切れない理由が関係者の感情ではないでしょうか。
これをしないと、もっと大きな赤字が出てしまう。
でも、周囲に伝えにくい。
締め付けタイプの改善をする場合、この悩みはつきものです。
このような時、歴史上の人物はどんな行動を取ったのでしょうか。
例えば江戸中期、幕府は大変な財政難で破綻寸前でした。
これを救ったのは、テレビドラマでお馴染みの暴れん坊将軍こと徳川吉宗です。
彼はかなり厳しい締め付け改革「享保の改革」を行いましたが、現代でも評価の高い人物。
その理由は歴史の教科書にも出てきた、アレにあります。
今回はこれについてお話していきますね。
■自ら率先、実行する
徳川吉宗は質素倹約を推奨し、江戸幕府のみならず故郷・紀州藩の財政改革をも成し遂げた人物です。庶民にも質素倹約の徹底を周知していました。
このようなお触れを出すと、反発が生じるのが常です。
しかし、この件で吉宗に対する反発の声はあまり残っていません。
その理由は、自らも質素倹約を実行していたからです。
上に立つ者は下の者の手本にならねばならない。
それを知っていたからこそ、吉宗は多少不便であろうと質素倹約を実行していたのです。
これがもし、家臣や庶民に質素倹約を強い、自分だけは贅沢三昧をしていたら反感を買うどころの話では済まなかったでしょう。
また戦乱の世に逆戻りしてしまいます。
こうならない為にも、下の者に負担をかけるより前に自分が行う。
これをすることにより、下の者に共感してもらいやすくなります。
「自分だけが辛いのではない」
こう思ってもらえると、改革改善が進みやすくなるのです。
人間の持つ共感力を上手に使った例です。
■庶民の声を政治に反映
目安箱という言葉は、みなさんよくご存じでしょう。
歴史の教科書にも出てきましたし、現代でも意見の投書の窓口に使われることがあります。
これを市中に最初に設置したのは、徳川吉宗です。
庶民の意見に耳を傾け、それを政治に反映させる。
将軍になってからではなく、紀州藩主のころから行っていました。
この頃は「訴状箱」と称していました。
当時としては画期的な制度です。
民主主義など影も形もない時代に、庶民の意見が政治に反映されるだなんて考えられませんでした。
この点でも大変素晴らしい制度ですが、それ以上に信頼を得るのにとても良い手段なのです。
人間は自分の話に耳を傾けてもらえる相手に対し、信頼を寄せるもの。
自分をよく理解してくれる、自分の為に何かしてくれると思うようになります。
また、話を聞くことにより、こちらの都合ばかりを押し付けていないと示すことも出来ます。
加えて、庶民の思考のリサーチも出来ますから、一石二鳥どころの話ではありません。
これは営業にも使えるテクニックですよ。
■良いところは褒める
吉宗が行った享保の改革は、年貢の割合を増やしたり大奥の人員整理を行ったりと締め付けの厳しいものでした。
大奥だけでなく幕府内の、今でいうリストラと機構整理も行われています。
各地では一揆が頻発。
幕府存続の危機です。
それでも、江戸幕府はこの後、約150年続いています。
これは締め付ける一方で、周囲に良い影響を与える行いをした者には褒章を与えていたからです。
これも紀州藩主の頃からです。
庶民にも与えていたんですよ。
これがあった為か、享保の改革から討幕運動まで発展しませんでした。
褒める行為は、人間のモチベーションアップに欠かせません。
行動に意味を見出せるからです。
自分に意味を持たせてくれる人物に、人間は好意を抱くもの。
こうやって吉宗は庶民の間にもファンを増やし、改革を進めていったのです。
しかも、政治的に批判的立場であった人物も褒めているのです。
考え方が違うからといって全否定せず、良い部分は褒め、政策も採用する。
この懐の広さも、人気の秘訣だったでしょう。
■平等であることが成功のコツ
以上、様々な点から見て、徳川吉宗は平等な人物であったと考えられます。
質素倹約をするなら自ら行い、様々な人の声を聞き、良い行いをすれば褒める。
そこに身分の違いはありません。
為政者の鑑といえますね。
もし、自らの利益だけを追求する締め付け改革だったならば、恐らく江戸幕府は存続していません。
外様大名のみならず、譜代大名、御三家も黙っていなかったでしょう。
あなたが今、しようとしている改革、改善はどうでしょうか?
皆に平等でしょうか?
自分は楽をし、周囲に我慢を強いていませんか?
不安になられたなら、私に声をかけてやってください。
第三者の目であなたとあなたの会社を見させていただきます。
けれど、恐らくあなたは大丈夫です。
不安になるということは、それだけ客観視できているということですから。
大丈夫。
あなたは頑張っている。
そのあなたの頑張り、私に応援させてください。
最後まで読んでくださり、有難うございました。
あなたの一日が素晴らしいものでありますように。
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