決算書より大事、社長が絶対押さえるべき「人財と時間」
「誰のために稼ぐのか、と女房が怒り出したんですよ。
もちろん、家族のためにオレが働いていると、彼女も解っているけど、家庭犠牲にしてると言う事ですかね~。
考えてみれば、女房が怒るのも一理あって、今 子供達は受験の年なんですよ。
仕方ない、今朝は五時起きで、子供の勉強を見ました。
新規事業所を立上ないければ…それが売上増ですからね。
今日も一件現場指導です。遠方だから移動時間がかかりますけれど…、楽しみです。」
連日の猛暑、いかがお過ごしですか。
テレビでは気象予報士も、「今日は日中仕事をしないで、クーラーのもとで過ごして下さい」と報道です。
私も、こんなに暑い日は、アイスでもたべながら、本を手に、休養したい処です。
久しぶりに会って相談したいことが、と言われてお会いした社長さんの口から出たのは、
「や~、忙しいんです。時間がない。」
売上を伸ばしてる、普通なら褒めてもらえるはずなのに、女房から苦言ですよ。
と、笑いながら話した社長さん、でも目元は少しお疲れのご様子です。
各営業所の視察やうち合わせに、自ら車の運転をして出かけている。
働いている従業員に自分の手伝いをさせちゃ悪いじゃないですか。
自分の事は、自分でしないと…、忙しいです。
優秀な経営者がぶつかる大きな壁があります。
社長が、現場で優秀な仕事ぶりを発揮すればするほど、会社の成長をマイナスへ押しやる恐ろしい壁が存在するのです。
優秀な社長は、売上を上げるべき指示を沢山出すアイデアマンです。
アイデアは、即実行せよと目の前で従業員をせかせます。
社長の言うとおりしなければ、と思う勤勉な社員は焦ります。
自分達で創意工夫するより、とにかく社長の嵐からこの場を通りスゴさせたい。
結果、「何でも社長に聞かないと病」の社員を育てることが、侭(よく)あります
こちらの社長も良くできる人です。
現場に入り、営業も、販売も、実際の業務手順はすこぶるうまい。
“社長と一緒だと、楽しいです”社員の声も嬉しい。
社長が一緒だと、お客様ごとの対応も、1つずつ指示が来るからその通り動けばいい。
物品の購入も、社長に話せば、”Yes”か“No”すぐに決着がつく。
たとえ“No”であっても、代替案を指示してもらえば、なにも文句はない。
いいことだらけなのに、何が問題?
しかし、社長がその現場を離れると、そこから「何も進んでいない」
その社員達は、そのまた部下を育てることはできない。
結局、継続的な売上アップに繋がらない。
社長の力量で売上を上げてきたのは皆が認めるところです。
ところが、社長が動けば動くほど、社員は動けなくなる。
手足萎縮、目の前のお客様を見ない、動けない社員を作っていく。
急成長したのに、急降下のスパイラルに陥る事業の社長さんは、あるときこう思います。自分一人でやった方が早い、元に戻りたい!
社長が、小さくしたいと思うから、当然、事業は縮小していきます。
負のスパイラルは、こうしておきます。
→社長は、忙しく動き回って現場の指示を出す
→現場は、判断待ちで、停滞ぎみ
→社長がますます忙しくて、社員一人一人にまで目が届かない。
→優秀な社員から止めていく
→離職した社員のお客様が流出
→サービス低下でますます売上が低迷
「風が吹けば桶屋が儲かる」になぞらえると、「社長が現場仕事をしすぎると、会社は成長しない。」どころか、悪循環に陥るのです。
「いや、わかるけど、そもそもウチみたいな中小企業に、優秀な社員は少ないよ。
だから、自分で全部動かないとだめじゃない。」
優秀な社員とは、社長さんはどういう基準をお持ちでしょうか?
そもそも、どんな人が欲しいのか?
必要な人材を、正確に把握していない社長さんが少なくありません。
「忙しいし、手伝ってくれるなら誰でもイイ」
人手不足とはいえ、こう言われたら、どうでしょう?
目の前に逸材がいても、ためしに採用しただけ、では優秀な逸材と見抜けますか?
本当は、今採用されている人の中にイイ人材がいるかもしれないのに…。
見つけようとしてなければ、見えて来ないのは、砂金探し・宝石探しと同じです。
タダの石ころ・砂に見えるか、価値ある原石を見いだせるか、分かれ目があります。
出会うには、イイ人財となる可能性の基準を社長さんが持っている事
イイ人材のなる可能性を持っている人がいないかな~、と観察する時間が必要なのです。
イイ人材の可能性「双葉より芳し」はどこが臭うか?
1.社長のビジョンに目を輝かせる。
2.納期は守るべきであり、スピードはお金に相当すると解っている。
3.時間どおりに出社し仕事に取りかかる準備ができている
4.会議や約束の時間を守って、周囲への配慮がある。
5.最優先すべきは、顧客サービスだと理解できている。
私の「双葉より芳し5原則」です。
何よりも、社長のビジョンに共感できているか、が大切です。
社長さんが熱く語る「会社のビジョン」に共感できる人材は、こちらが指導する前に、仕事のコツを掴みます。
問題解決策を見つけ出して、自分で解決してもイイですかと提案してきます。
あれこれ指示などせず、見守ると、社長のビジョンに自分のゴールを重ね合わせて仕事を進める逸材と、そうでない人材に分かれていきます。
時間をかけて見守る。
社長に必要なのは、この一見ムダでつまらない時間を、人財採用の大事な仕事として、位置づける事です。
できる人は、人の3倍働く。
できる人にとって、究欲のご褒美は、すばらしい仕事をやり遂げた後の喜びです。
何も3倍の給与が必要なのではありません。
「ウチは、まだ小さい。特別な能力の人を採用できるほど大きくない…」
とおもっているなら、それも間違いです。
「ウチ」の人になってもらうには、別に「雇わなくてもいい」のです。
今どき、取引先、アウトソーシング、外注を含めて「ウチ」のチームです。
事実、私も自分のできない仕事をチームの優秀な人財にお願いしております。
どうしたいのかは、私「ノグチ経理相談室」のビジョン。
それぞれ優秀な方が、私のビジョンを助けてくれています。
私に「時間と人材」を与えてくれるのが、私のビジョンです。
社長さんの欲しいもの、それはお金の心配なく、安定的に業績が伸びていくこと、ではありませんか?
そのためにすべきこと、それは、社長と一緒にビジネスを成長させる意志ある人財を見つけ出すことです。
時流の商品や、マーケティング戦略の成否は、確かに売上に大きく寄与します。
最も安定した成果を出すのは、優れた人財を採用し、育てた時です。
社長のビジョンが社長の決算書に大きく寄与するのはこのためです。
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