給与の決め方
今回のコラムではスタッフの“給与”についての原理原則をお伝えしていきたいと思います。
経営者の皆さんは給与についてどうお考えでしょうか。これは私の経験上ですが、給与すなわち人件費は“コスト”だと考えている経営者が多いと感じます。
コストとは目的を達成するために必要な費用であり、モノやサービスを生み出す原価とも言えます。それにはお金はもちろん、労力、時間が含まれます。
しかしこの考え方は危険です。スタッフの人件費をコストとして捉えてしまうと、原材料と同じようにモノとして扱ってしまうことにもつながり、結果それを抑えようとする力が強く働きます。
適正な範囲内であればいいですが、それが度を越してしまうといわゆるブラック企業への道を辿ることになります。自分たち経営者側がいかに儲けるか、を一番に考えてスタッフから搾取することを平然とやるようになるのです。
もちろん、ムダなコストは削減する必要がありますし、経営を効率化して少しでも多く利益を出すのが経営者の仕事でもあります。しかし人件費は同列で扱えません。
スタッフの人件費はコストではなく、純然たる“投資”なのです。
投資とは、将来の価値を生み出すためにお金、労力、時間を使うことです。つまり、スタッフの人件費はその人財、そして会社を成長させるためのものなのです。
限られた資金のなかで、いかに人に対する投資を行うか。出したいけど出せないもどかしい状況もあります。中小企業であればそんな状況ばかりでしょう(私も嫌なくらい経験しています)。その時にどれだけ歯を食いしばって投資が行えるのか。これが会社の将来を左右する最も重要な決断の一つとなります。
借入をしてでも先行投資として人件費を上げたほうが良い場合や、その逆でリストラの一環として人員削減を余儀なくされることもあります。
いずれにしても人件費は利益を食うコストではなく、利益を生む投資として常に考えて決断することが何よりも重要です。
ただ投資とは言え、上限なく出せるわけもなく、その加減が非常に難しいと思われる方も多いのではないでしょうか。
単に同業他社より高い額を提示すればいいのかというと、そういう問題でもなく(出せるに越したことはありませんが)、また自社の財務状況だけ見てしまうと、保守的になりすぎて良い人財が集まらなくなってしまいます。
重要なことは、感覚でやらないことです。何回もお伝えしていることですが、社長の鶴の一声で決めないことです。投資であるがゆえ、給与にも理念と戦略が必要なのです。
適当に決められた給与体系は全く機能しないため、すぐに機能不全に陥り組織がガタガタになります。本で読んだりネットで調べた給与体系をそのまま使ったり、何の考えもなしに単純な計算だけで制度をつくってしまうと大きな後悔をする羽目になります。
考えられた給与体系、制度は共通点があります。それは、「なぜこうなっているのか」がしっかりと説明できることです。その上で全社員が共有し、運用することでめ
ざましい効果を発揮します。
皆さんの会社では給与体系や制度がなぜそうなっているのかが言語化されていますか?そしてそれを全社員と共有していますか?
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