経営計画なんかいらない?
最近、当コラムでは人財育成に関しての重要ポイントをお伝えしています。
有言実行や積極的なコミュニケーションでお互いの信頼関係を築き上げることは公私問わず重要であり、疑いの余地はないと思います。
このことは、種を蒔く前に畑を耕すようなものであり、絶対に避けては通れない道です。
その人間同士の地道なやり取りに加えて、人財育成に欠かせない“もの”があります。
それが何かと言えば、意外と盲点となっていることであり、ほとんどの中小企業経営者がつくっていないであろう、会社の経営計画や店舗における運営計画です。
そしてそれを共有し、それをもとに実践することです。
店舗現場にいると、現場の仕事で手いっぱいになり、得てして視野が狭くなりがちです。
忙しさにかまけて何も考えず毎日を過ごしていると、充実しているような錯覚に陥ります。
忙しいうちはいいのですが、いつまでも流行っている店はこの世に一つもありません。
経営者が現場で一緒になって頑張ることは悪いことではありません。しかしそれは起業して長くても数年の間だけにするべきです。
経営者の仕事は未来を創る仕事です。
別にかっこいいことを言うつもりはありません。
本当にそうなのです。
理念をつくり、ビジョンをつくり、戦略をつくる。
それを具体的な時間軸、行動に落とし込んだ計画をつくる。
これは間違いなく経営者の仕事です。
現場のスタッフにできるはずがありません。
経営者にしかできない重要な仕事なのです。
会社の将来が見えなければ、誰がその会社に残るでしょうか。
あふれる希望を胸に入社したスタッフも先が見えない不安から、入社1年たたないうちに目は淀み、生気のない顔で日々の仕事をこなすのみ。
人が育つどころか退職者も後を絶たない。
別に経営計画がないだけでここまでなるとはいいません。
しかし計画が無ければ会社の、そして店舗の先が見えないことは事実。
経営がその場しのぎになっていることの悪影響は、思っているよりもかなり大きいのです。
行き当たりばったりで店舗の経営はできません。
続いたとしても、そこ1,2年でしょう。
上手くいったのはたまたまなのですから。
「経営計画なんか立てても無意味だ!」
「周りで計画通りに言っている会社はない!」
「どうせその通りにならないんだから作る時間が無駄だ!」
「そんなもの絵に描いた餅だ!」
という声が聞こえてきそうですね。
はい。そのとおりです。
計画通りに行くことは100%ありません。
しかし、だからこそ計画が必要なのです。
計画と実績にどれだけのズレがあるのか。
それを知ることが重要です。
計画もなしに適当にやっていたら、自分たちがそもそも一体どこにむかっているのか。
何ができて、何ができなくて、それはどう評価できるのか。
まったくわからないのです。
これでは次にもつながりません。
“何が上手くいかなかったのか”を知ることが経営計画をつくる大きな理由のひとつです。
計画を作ることは比較する基準をつくることでもあります。
これがあって初めて自分たちのやったことの評価ができます。
仮説を立てて検証する。
PDCAサイクルを回す。
と言い換えることもできます。
ただそこまで硬くなり、ガチガチにやることもないでしょう。
形にこだわりすぎたら、下手をすると計画を立てることが目的となってしまいます。
よくある「手段の目的化」はここでは致命的になりますので、気を付けてください。
また、経営計画の立て方にも順序があることに注意が必要です。
まず理念があり、ビジョンができ、それを実現するために戦略を立てる。
経営計画を立てるのはその後です。
当たり前ですが、計画が先に来ることは絶対にありません。
先述した通り、経営者の仕事は未来を創ることです。
理念やビジョン、戦略は未来にベクトルが向いている仕事です。
今できる仕事はスタッフに任せるべきであり、経営者がすべきはそのスタッフ達に未来を見せることです。
このことは人財を育成するためにも非常に重要なポイントとなります。
経営者の皆さんはしっかりと未来を見据えて経営計画を立てるようにしてください。
期間は1年から長くとも3年で立てると良いですね。
そしてそれを共有することをつねに心がけましょう。
数年後に必ずその効果が表れます。
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