成果を上げる3つの視点
「毎日忙しくしていますが、ここのところ売上は横ばい。むしろ儲けは少なくなっている気がするんですが、何から見直そうか考えているうちにまた一ヶ月経ってしまいました…」
先日、ばったりお会いしたある会社の幹部の方との立ち話で、「お忙しそうですね~」と声を掛けた時に返ってきた言葉です。自らあちこち飛び回っている方なので、なかなかじっくり社内を見渡す時間が無い…自分自身を振り返る余裕も無い…そのような印象でした。私がお伺いする中小企業のほとんどは、社長を筆頭に幹部の皆さんが営業に動いていて、先程のように「忙しくはしているけど、“実”になっているのかどうもよくわからん…」という方も多くいらっしゃいます。
特に、自分の行動は分かっていても、部下のことはよくわからない…という声をよく聞きます。忙しく走り回るだけでなく、成果の上がる動きをして欲しいというのが経営者の望むところだと思いますが、果たして彼らの行動をより実り多いものにするにはどうすれば良いのか?…現実にありがちな3つの視点で考えてみたいと思います。成果の上がらない経営活動ほど虚しいものは無いですからね。
まず、社員に日報を書かせる会社は多いと思いますが、中には指導する側の管理者が目的を理解していないケースが多く見受けられます。一日やったことを書き連ねているだけや、訪問件数や作業内容を書いてあるだけの、言うならば「行動を報告させる(監視する)こと」を目的としたものや、書かせてはいるけれど適切な指導をしていない・課題を導き出せていない・そもそも関心が無い(印鑑だけ押してある)ようなケースもあります。
1つ目の大切な視点は「時間管理」です。手帳にスケジュールが書いてある、ホワイトボードに予定を書き込んである、周りに行動予定を伝えてある…というのは管理と言わず、部下が何に時間を取られているのか?を把握して、時間の使い方を工夫させる、これだけでも成果が大きく変わってきます。特に、自分で予定を決められるような自由度の高いときの時間をいかに有効に活用させるか?…やっているようでやっていない、知っているけどできていない意外なポイントです。
しかし、この時間の使い方を考えるときに頭が痛いのが「何から手をつけるか?」ということになるわけですが、時間を有効に活用するためには、そもそも何を優先すべきか?を理解できていなければなりません。今やるべきことは何なのか?また、今じゃなくても良いことは何なのか?を見極め、当然のことながら大きな成果が期待できることに優先的に時間を費やし、集中させることが早道です。
2つめの視点は「優先順位をつける」です。人によっては、「やり易い仕事から手を付ける」とか、「苦手な相手の仕事を優先させる」、「好きな仕事(興味のある仕事)に時間を多く使う」など、自分の感情で優先順位を決めてしまっているケースもありますので、他人の視点を入れて必要に応じて見直すことが重要です。特に、お客様や会社から言われたことだけで動いている(自らの判断で動いていない)社員は自分の仕事に対する結果(成果)を意識していない事が多いので、仕事の棚卸しをさせ、優先順位をつける指導はぜひやるべきです。
そして最後は、「部下の長所を活かす」こと。人材が限られている中小企業では、互いの弱点を指摘しあったり、弱いところを減らす努力をしたりしても劇的な成果の伸びは期待できません。いかに伸びしろのある部分を見つけ出し大きく伸ばすか?が結果を左右します。最近は転職も珍しくない時代になりましたので、前職での経験や人脈など活かせる資源はどこかしらあるものです。また、他人より秀でた部分を発見し伸ばしてあげることで本人のやる気も格段に違ってくるものです。「ただ何となく忙しい」だけの毎日は、やる気を失わせ、目の前の作業をこなすだけの社員を作り出してしまいます。
経営者の皆さま。部下の時間管理や仕事の棚卸しの指導はできていますか?また、部下の長所を知っていますか?私達に与えられた1日は24時間で皆平等です。この中でいかに大きな成果を上げるか?…ここが貴方の腕の見せどころですよ!
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