社員の心を豊かにする「働き方改革」を実現させるポイント
政府が掲げる「働き方改革」。様々な議論と改革が進んでいます。時短勤務、在宅勤務、残業規制など制度上の仕組みが整ったとしても、経営者として本来考えるべきは、「社員の心にとって望ましい働き方」という視点です。
メンタルヘルス対策も同様で、休職や復職に関する支援などの制度があることはもちろん重要です。ですが、社員一人ひとりが最も望んでいる働き方、職場環境とは何でしょうか。
それは、社員が仕事が楽しい、仕事を通じて成長できているという実感がある、自分の能力が発揮できていると感じる、よい人間関係に恵まれているなどの「心の豊かさ」につながる働き方改革です。
仕事が楽しい、成長できるというやりがいも感じる。社員の心を豊かにする働き方改革を実現するためには、まず、社員一人ひとりが自らの仕事の意味や意義をしっかり理解してもらう必要があります。
「なぜ、自分はこの仕事をするのか。仕事を通じでどう成長したいのか。」
「自分の仕事は顧客に、社会にどのように必要とされ、役にたっているのか。」
与えられた仕事だから「やるしかない」という姿勢とは全く異なります。自分の仕事を通じてどんな貢献ができるのかを正確に理解している場合、仕事が楽しい、やりがいがあると感じるのです。
これらは、会社のミッションやビジョンとも通じるものです。つまり、会社のミッションやビジョン、今後の方向性などが正確に、しかもタイムリーに社員と共有されている必要があるのです。
組織の方向性やゴールは、決して数値目標だけで語られるものではありません。数字で語るのではなく、ストーリーとして語るべきものなのです。例えば、新薬が上市した場合、その「薬を売る」ではなく、「新薬を心から待ち望んでいる患者さんと、その家族に届ける」という風にです。
表現を変えるだけで、社員が受け取る印象は大きく異なります。このような真の目標が共通言語として組織の中でしっかりと共有されていなければならないのです。
離職率の高い組織では、
「時間をかけ大切に育てた社員がすぐに辞めていってしまう」
「ちょっと失敗を注意しただけで、自信がなくなったと会社を休むようになる」
「期待しているからこそ、厳しく対応したのに辞めたいと言われた」
というのはよくあることです。残念ながら、会社の期待が正確に社員に共有されていないのです。
一方で、優秀な社員が育ち、しかも会社を辞めずにますます能力を発揮してくれている。そんな組織もあります。では、職場を辞めずにイキイキ働いている社員は、日々、何を感じているのでしょうか。
それは、「自分には出来る」「やれば出来るんだ」と思える自己効力感です。実はこの自己効力感は育てていくことができます。社員の自己効力感を育てる組織では、出来たことを正しく評価するのはもちろん、そうでなかった時、つまり、失敗やミスをした時こそ、その失敗を叱責するのではなく、失敗から何を学んだのかを共有し、次回に生かすという行動をします。
そのような組織にあっては、社員は失敗を過度に恐れず、失敗から何かを学ぼうとします。そして、その学ぶ姿勢も評価されるのです。ますます「自分には出来る」「失敗は必ず次に生かす」「自分はこの会社に期待されている」と感じ、自信をもって仕事に取り組んでいるのです。
社員の心にとって望ましい働き方改革を進めていくためには、ただ職場の制度を変える取り組みだけでは実現しません。意識的に、これまでの情報共有の仕方、マメジメントの仕方を変える必要もあるのです。
さて、あなたの会社では社員が仕事を楽しんでいますか?
失敗から学ぶという企業風土がありますか?
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