現場改善で、工場内の変化のスピードと生産性を上げる KZ法(10)
今回はKZ法と在庫の関係についてお話しします。例えば自動車関連の工場に金属材料の在庫がいっぱいあったとします。かなり錆びているモノもあるので古くからずっと有るんだろうなあ…と思われます。
私はこのような状態を見るとかなり焦ります。理由はこれらの大量の在庫は以前に高いお金を払って買ったモノでしょうが、もしかするとこの先もずーっとここに置きっぱなしになるのではないかと思うからです。私はモノが余っている状態を見ると焦るのです。
しかし現場の方はもうこの景色に慣れてしまっているのか、特に焦った様子が見られません。それより今日の生産に使う材料がちゃんと有るかどうかが気になっているようです。現場の方はモノが無い状態を見ると焦るのです。でも無くても発注すればモノは来るのでそんなに大きな問題にはなりません。しかし有り余っている場合、それはすぐにはどうすることもできません。そして今日買った材料がまた余ってしまうのではないかと心配になります。
もし私が友人に今月返してもらう約束で先月10万円のお金を貸したとします。ところが今月になったのに彼がそのお金を返してくれません。私は彼が本当に返してくれるのかとても心配だし、とても困ります。気になって気になって昨晩はなかなか寝付けませんでした…。これはもちろん作り話ですが、このような気持ちは分かっていただけると思います。
現場の使われない在庫は、実はこの貸した私のお金と同じだと思いませんか? この材料を使っていい商品を作って売って利益を上げようと計画したのですが、いつまでたっても商品になりません。材料を買った時点で支払いを済ませているのですが、そのままでお金が帰って来ないのです。そしてその金額は10万円どころでなく何百万円!
KZ法ではこれらの在庫には、ひと月以内に使われないモノとしてカードが貼られます。そこで今まで慣れた景色に溶け込んでしまっていたこれらの大問題をみんなで顕在化して、現在の問題点とこれからの改善点を議論します。そして管理の仕方と購入の仕方を変えればいろいろないい変化が起きてきます。
「切れるより余る方が怖い!」これが私の実感です。
場所が空いてスカッとして、無駄な買いが減るのでキャッシュが貯まり始めます。これは経営に大きく貢献するのです。
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