会社としての合格の基準を上げ続ける
「全員が提出してきたら、赤字なんですよ」
昨年、学習塾の経営者にお話を伺っている時のことです。本格的な受験シーズンの開始を前に、一人で勉強することはなかなか難しいというテーマになり、通信教育の話題になりました。
某大手通信教育会社でも、実際に通信講座の回答を送ってくるのは数%に過ぎず、もし本当に全員が回答を送ってきたら、添削に関わるコストが膨らんで採算に合わないそうです。
私も受験生時代、合格率が高いと言われる通信教育を申込んだことがあります。しかし、かなり難しく、定期的に問題は送られてくるものの、結局2回ほど提出して挫折してしまった記憶があります。
通信教育会社とすれば、通信教育を受けてもらうことで、合格率などで一定の成果を出す必要があります。一方で、ある程度不真面目な受講生がいないと取引採算の点で、新たな課題が出てくるという訳です。
取引採算を重視すれば、お金は払うけれど、答案を提出してこない生徒は優良なお客様です。しかし、ノウハウの詰まった通信教育の問題に取組まない生徒ばかりだと、その成果を発揮できず、やがては受講生が離れていきます。このため、通信教育会社としては、合格率を高めつつ、採算も確保するという課題に常に向き合う必要があります。
会社経営の場合、受験と違って、平均80点以上取れば合格ということにはなりません。また、総合点で500点を上回れば合格と言いきれない難しさがあります。そして、周囲の環境が日々目まぐるしく変わるので、同じ実力だと続けて100点を取れるとは限りません。
まずは、会社としての合格の基準を決めることがスタートになります。そして、毎回会社としての合格の基準を上げることが求められます。
売上だけでなく、利益も追求する。人を増やすだけでなく、生産性も向上させる。見込み客の数だけでなく、より契約に結びつきやすいお客さんを増やす。
一気に達成するのは難しくても、目指さない限り、そこには到達しません。
競合他社の動きはいろいろと気になります。しかし、まずは自社として何をするのかを明確に言語化しましょう。
ライバルは昨日の自分です。
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