組織を自分の手足のごとく動かす、そのための仕組みであり技術です。
「最近、会社のすべてでスピードが上がっているのを感じます、いままでぶち切れだった組織としての神経が、初めて繋がった感じを受けます」
菓子メーカー社長、コンサルティング最後の回での言葉。
前期は年商8億、今期は年末までに年間1億クラスの新規の取引先が3件立ち上がる予定。
矢田 「社長、よかったですね、掴まれましたか、おめでとうございます」
これを「掴まれた社長」には、お祝いの言葉を言わずにはいられません。
会社組織として、大きく事業を展開するためには、『分業』が必要になります。その単位は、大きくは、営業部、開発部、製造部という部になります。それぞれの部が、自部門の業務を担うことで、より大きな成果を上げることができます。
分業の効用は大きくは以下のものとなります。
- 専門化:各部がそれぞれの専門に特化することで、その能力とそのスピードを高めます。
- 効率化:同一の業務を集めることにより、効率を高めます。
- 業務の低度化:仕事を限定することで、必要とされる技量の水準を下げ、人材要件を拡げます。
これらの効果により、一人当たりの生産性を上げることができます。(社員一人当たりの年間生産性(粗利高)は、大手1500万円 に対し、中小700万円)
また、社長は、各部門に対し今期の目標と言う形で目標を分配することで、格段にスピードを上げることができます。
しかし、組織としての仕組みが無いと、ここで問題が起きます。生産性をあげるための組織化が、逆に大きな問題となり事業の成長を阻害することになります。
その時に起きる現象は、大きく以下の4つあります。
◎部門間が非協力的である:セクショナリズム、お互いに無関心や境界を引く、報連相の問題が起きる
◎各部門が自発的に考えない:問題を打ち上げるだけで解決策の提案もない
◎本当の情報が上がってこない:不良品の発生や売上げ不振の真の原因がつかめない、クレームを隠す
◎経営計画の部門目標が達成されない:目標の存在を忘れる、できない理由をあげる
それぞれの現象には、組織の仕組みに関して明確な欠陥があります。
今回は4つ目の「目標が達成しない」について説明します。
目標が達成されない原因は大きく以下3つに分類されます。
- 目標の立て方:目標が象徴的でスローガンのよう、具体的な方針が無い
- 行動計画:期限と行動が明確でない(指導する会社にもよるが、ISOを導入している会社に作成が下手なところが多い)
- チェックしていない:確実にチェックする仕組みが必要となる。
多くの人が、これらの項目を見ても、「当たり前」という印象を持つと思われますが、ほとんどの会社(感覚的に9割以上)で出来ていません。
この実務のところは、私自身どう文字で伝えたらいいか模索中であります。クライアントには、スポーツと同様に、説明を行い社長に作成していただき、それを添削する形で習得をしていただいています。
上記のことをすれば、毎期毎期設定された目標や社長からの指示は、確実に進むようになります。また、社長自身も、各部門がどう動いているのか、手に取るように解るようになります。
部門が目標を達成できるかは、部門や部長の問題ではなく、経営者の能力次第なのです。
目標の立て方や行動計画のつくり方の素晴らしいサンプルが世に出回っています。それは、ゼネコンの工事工程表です。(設備の工事計画も良い)工事工程表には、具体的な行動と明確な出来高、そして、期限が載っています。象徴論は全くありません。
この目標とそれを確実にやらせる技術は、年商10億を目指す社長、そして、それ以上に進む社長には、絶対に必要なモノとなります。これにより、この先、より大きな組織を動かせる権利を得たのです。まさに、社長にとって一生ものの技術を身につけたことになります。
逆に、この技術がなければ、大きく稼ぐための組織のはずが、お抱えの荷物になり下がります。社員数名でやっていた時よりも、社員30名になったときの方が、社員一人当たりの生産性が低い会社もあります。これ以上人数を増やしたり、拠点を設ければ、さらに苦境に陥ることは、火を見るよりも明らかです。
組織を自分の手足のごとく動かす、そのための仕組みであり技術です。残念ながら、組織を組織として使える感触をつかめる社長はそう多くはないと言えます。
だから、「おめでとうございます」なのです。これから更なる大きな組織を動かすことができ、より多くのお客様に喜んでいただけます。
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