知的財産の活用が広まらない理由2~社長、儲ける仕組みの中に知的財産を!~
「後藤さんの本、ざっと読ませていただきました。後藤さんが考えておられる戦略がある程度わかりましたが、中小企業の経営者にどうやって気付いてもらえるかですよね。特許取って終わりの会社がたくさんありますもんね。」
これは、先日私の著作本をご購入いただいた知り合いのデザイナーの方からいただいたお言葉です。
ちゃんとお読みいただいたことに感謝するとともに、その方とは日本酒の飲み会でもご一緒する「飲み友達」でもあるのですが、いろんな中小企業の経営者ともお付き合いをされていて、中小企業の在り方について議論に花が咲きました。
前回、日本では未だに知的財産の活用が普及していない状況が続いている理由の一つとして、「知的財産を売ろうにも、相場がわからないしニーズがどこにあるのかもわからない」状況であるのが理由の一つであることを申し上げました。
もう一つの理由として「経営者自体、知的財産に興味がなく、また使い方もわからない」ことが挙げられます。
これについては、総じて私たち弁理士がクライアントの企業経営者の方々に対し、知的財産の活用について適切なアドバイスができていないということもあると思います。
弁理士会でも「知財キャラバン」というコンサルティング事業を立ち上げ、普及に努めていたり、「知財流通流動化事務局」というところで知的財産の流通のお手伝いもさせていただいていますが、まだまだ認知度が低く、中小企業の経営者にはほとんど浸透していない状況です。
また、以前このコラムで話しましたように、「技術開発したから特許取ろう」→「特許取って製品もできた。さてどうやって売ろう?」という順番でものを作り、結局製品が売れず困るというパターンに陥ってしまう場合もあります。
「売れるものを作ら」なければ企業は存続しませんし、「売れるためにはどうすればよいか」を考える中で知的財産の活用を盛り込むという、いわば上記のパターンとは逆の思考をしなければならないのです。
それができないと、「結局特許取っても何の役にも立たない。もうやめよう」ということになったり、使えない特許ばかり残って経費がかさんでばかり・・・ということに陥ります。
やはり、「儲けなければ」知的財産を取得することも、活用し続けることも難しいのは明らかです。
私たち弁理士の中にも、「自分たちは権利化のお手伝いだけをして、経営まで踏み込んだコンサルティングなどしなくてよい」という考えの方もいらっしゃいますし、「これからはコンサルティングもできなければ本当の意味でお客様に貢献できない」という
危機感を持っている方もいます。
決して一枚岩ではありませんが、いずれにしても、「経営の現場で活躍されている方々に知的財産の価値と有用性を知ってもらう」普及活動も行い続けなければなりません。
両者(専門家とお客様)の接点ができてこそ、新たな展開(知的財産を活用し利益を生み出す独自の仕組みを創る)が見えてくるはずなのです。
知的財産の活用に興味を持ち、使い方をマスターして、営業・マーケティングに盛り込むシステムを作っていきましょう!
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